Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺岡 徹 東京農工大学, 農学部, 教授 (60163903)
坂上 寛一 東京農工大学, 農学部, 教授 (10014961)
塩谷 哲夫 東京農工大学, 農学研究科, 教授 (60226107)
本林 隆 東京農工大学, 農学部, 助手 (20262230)
島田 順 東京農工大学, 農学部, 助教授 (00015124)
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Research Abstract |
本年度は,畑作システム試験圃場においては昨年11月播種のコムギを6月に収穫し,ダイズを7月に播種して10月に収穫した。両作物ともに生育状況と収量を調査するとともに,ライシメーターにより雨水の浸透による窒素の溶脱量を毎月測定して,耕うん方法と施肥の違いがもたらす影響を調べた。その結果,各処理区ごとのダイズの平均収量は,耕うん区2,779kg/ha,減耕うん区2,866kg/ha,堆肥区2,880kg/ha,化学肥料区2,764kg/haとなり,有意差は認められなかったものの,減耕うんと堆肥連用の組み合わせで最高となった。一方,減耕うん処理が土壌の透水性を増大することから,窒素溶脱量は減耕うん区できわめて大きくなり,とくに堆肥連用との組み合わせでさらに顕著になった。これは1996〜1999年に得られたデータと同様な傾向であり,耕うん作業の簡素化と廃棄物堆肥の利用をすすめる上で改善を要する問題点が明確になった。 土壌中の微小節足動物(ダニ,トビムシなど)には土壌微生物をエサとする種が存在することから,同試験圃場において,これらが土壌有機物の分解に及ぼす影響を検討した。その結果,7〜10月の期間では,ダニ類ではササラダニ亜目が,トビムシ類ではシロトビムシ類とアヤトビムシ類が優先であり,また,トビムシ類とコナダニ類の存在は有機物分解に促進的に,一方,ササラダニ類は抑制的に作用することが示唆された。 水田圃場では3種類の有機廃棄物堆肥を用いて水稲栽培を行った。堆肥の種類ごとに可給態窒素の無機化パターンを予め予測し,不足分のみを化学肥料で追肥することにより,いずれの堆肥区でも慣行施肥区と同等の玄米収量(6.5〜7.0ton/ha)を得ることができた。この結果,堆肥の種類にかかわらず,土壌の肥沃度を高めながら安定した収量を確保することが可能になったと考えられる。
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