1998 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変マウスを用いたヒスタミンの新規生理作用の発見と病態モデル作成への応用
Project/Area Number |
10557010
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大津 浩 東北大学, 医学部, 講師 (60250742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 昇 三菱化学株式会社, 総合研究所, 主任研究員
市川 厚 京都大学, 薬学部, 教授 (10025695)
渡辺 建彦 東北大学, 医学部, 教授 (70028356)
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Keywords | ノックアウトマウス / トランスジェニックマウス / ヒスタミン / ヒスチジン脱炭酸酵素 / 遺伝子 / レスキュー / 眼電位図 / 行動薬理 |
Research Abstract |
ヒスタミン合成酵素であるヒスチジン脱炭酸酵素(HDC)遺伝子のノックアウトマウスは体内にヒスタミンを欠如するため,ヒスタミン欠如マウスとして使用できることが判明した.このマウスを使い,現在までの所以下のようなことが分かった.1)このマウスをcompACTという行動を経時的に測定する機械にいれて動きをモニターしたところ夜の行動量が減少し,日中の行動量が増加した.更に食餌中に含まれるヒスタミンの量を調節する事によって,体内でのヒスタミン量も調節する事ができる事が判明した.この系を使って食餌中のヒスタミン量を増して,体内でのヒスタミンを上昇させると,夜間の行動量の減少が改善される事が判明した.このことは,ヒスタミンが夜間の行動量に決定的に重要である事を示している.2)このマウスは眼電位図に変化があり,アマタリン細胞での神経伝達に異常があることが示唆された.実際HDC蛋白の抗体をつかって,網膜を染色してみるとアマタリン細胞のみが強く染色されてきた.これによってOP waveの異常はアマタリン細胞からのヒスタミン放出が影響することが示唆された.現在までのところ,マウスの視覚の伝達機構にヒスタミンが関与するという報告は無く,新しい研究が展開していく可能性が高い.3)皮膚にBSA(bovine senurm albumin)で起こしたアレルギー反応がノックアウトマウスでは強く抑えられる事が分かった.さらに,この反応の場にヒスタミンを加える事によって,野生型で起きている反応を再現できたためやはりこの反応抑制もヒスタミンによる事が明らかになった.この事は皮膚におけるアレルギー反応にヒスタミンが絶対的に重要な働きをしている事を示唆している.現在さらに,新たな表現系を探索していると共に,ヒスタミンを高発現させるべくHDCトランスジェニックマウスも作製した所である.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kuramasu,A.et al.: "Mast coll/basophi1-specific transcriptional regulation of human 1-histidime decarpoxylase gene by CpG methylation in the promcter" Journal of Biological Chemistry. 273. 31607-31614 (1998)
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[Publications] Ueno,H.et al: "Expression of human histidine decarboxylase in Saccharomyus cervisial." J.Biochem.Mol.Biol.Biophys.2. 141-146 (1998)
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[Publications] Ohuchi,Y.et al: "Induction of histidine dicarboxylase in type 2 T helper lymphocytes trated with anti-CD3 antibody" Inflamm Res. 47. S48-S49 (1998)
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[Publications] Maeda,K.et al: "Induction of 1-histidine decarboxylase in a human mast cell line HMC-1" Exp.Haemato1.26. 325-331 (1998)