1999 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生の分子機序からみた"血管新生病"の新しい診断と治療の展開
Project/Area Number |
10557014
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小野 眞弓 九州大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80128347)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 達朗 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (30150428)
岩本 幸英 九州大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00213322)
内海 健 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80253798)
池崎 清信 九州大学, 医学部, 講師 (10145360)
|
Keywords | 血管新生 / VEGF / 関節リウマチ / 糖尿病網膜症 / MMP / 虚血 / ディファレンシャルディスプレイ法 / アクチビン |
Research Abstract |
1,ディファレンシャルディスプレイ法により、1)増殖速度の高い血管腫に優位なPDGFを含む数種類の遺伝子を同定した。その中には3種類の新規候補遺伝子が含まれ、その一つはin situ hybridization法にて血管腫周囲の肝細胞で発現していることを確認した。2)血管新生の豊富な癌の一つである腎癌にても癌部で高発現している遺伝子を検索した。癌部に発現の高い遺伝子としてHIF-1、osteopontin、SPARCなどの血管新生関連遺伝子の他、新規の数種類の遺伝子が得られた。現在それら遺伝子が癌化及び血管新生にどのように関わっているかを検索している。 2.血管内皮増殖因子(VEGF)は網膜症の発症、進展に重要な影響を及ぼすサイトカインである。VEGFの発現には虚血が重要と考えられているが、網膜症の初期には虚血は生じない。そこで後期グリケーション終末産物(AGEs)とVEGFの関連を明らかにした。AGEsは網膜症の発症前から網膜血管壁に沈着し、直接あるいはVEGFの作用を介して、網膜症の発症、進展に関与していた。現在VEGF受容体に特異的なキナーゼ活性阻害剤を投与して動物モデル系にて検討中である。 3.リウマチの骨関節破壊の機構のひとつに滑膜増殖あるいはこれに不可欠な血管新生の関与が考えられる。そこでリウマチのモデル系であるアジュバント関節炎ラットに血管新生阻害剤の一つであるMMP阻害剤を投与し組織およびX線像で解析した結果、四肢の腫脹、骨関節破壊が抑えられ、組織学的にもパンヌスの形成が抑制されていることが確認された。リウマチ滑膜では滑膜肉芽組織中の一部の細胞と血管内皮細胞にタイプIIアクチビンレセプターの発現が観察された。これらの結果より血管新生を抑制する事によりリウマチの骨関節破壊が防止できる可能性が示唆され、血管新生阻害はリウマチの治療の新しい概念になりうると考えられる。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Ono,M.,et.al.: "Biological implications of macrophage infiltration in human tumor angiogenesis."Cancer Chemother.Pharmacol.. 43. 69-71 (1999)
-
[Publications] Nishie,A.,et.al.,: "Macrophage infiltration and heme oxygenase-1 expression correlate with angiogenesis in human gliomas."Clinical Cancer Res... 5. 1107-1113 (1999)
-
[Publications] Shono,T.,et.al.: "A new synthetic matrix metalloproteinase inhibitor modutates both angiogenesis and urokinase type plasminoge activatoractivity"Angiogenesis. 2. 345-356 (1999)
-
[Publications] Okazaki,K.,et.al.: "Expression of insulin-like growth factor I messenger ribonucleic acid in developing osteophtes in murine experimental osteoarthritis and in rats inoculated with grown hormone-secthing humor."Endocrinology. 140. 4821-4830 (1999)
-
[Publications] Sakamoto,A.,et.al.: "Expression of membrane type1-matrix metalloproteinase,matrix metalbproteinase-2 and tissue inhibitor of metdloproteinase-2 in human cartillaginuos with special emphas on mesend and dedifferentia chondrosar."J.Cancer Res.Clim.Oncol.. 125. 541-548 (1999)
-
[Publications] Ishibashi,T.,et.al.: "Peripheral choriovitreal neovascularization inproliferative deabetic retinopathy:Histopathologic and ultrastructural study."Ophthalmologica. 213. 154-158 (1999)
-
[Publications] 小野眞弓、桑野信彦: "PNEモノグラフ 血管新生とがんの生物学"共立出版株式会社 南條光章. 112 (2000)