2000 Fiscal Year Annual Research Report
がん化学予防のヒト遺伝子損傷に基づく安全性評価法の開発
Project/Area Number |
10557040
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
川西 正祐 三重大学, 医学部, 教授 (10025637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平川 和貴 三重大学, 医学部, 助手 (60324513)
及川 伸二 三重大学, 医学部, 助手 (10277006)
村田 真理子 三重大学, 医学部, 講師 (10171141)
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Keywords | がんの化学予防 / 遺伝子損傷 / 安全性評価 / 活性酸素 / 抗酸化物質 / 発がん / β-カロチン / フラボノイド |
Research Abstract |
わが国では依然として悪性新生物が死因の第一位を占めているが、第一次予防を重視する米国では1990年代に入りがんの死亡率、罹患率ともに減少した。早期発見、早期治療の第二次予防を中心にしてきた日本でもがんの化学予防を含む第一次予防を重視する必要がある。がん化学予防には、ビタミン類やフラボノイド類などの抗酸化物質が有効であると考えられてきた。しかし、疫学調査で喫煙者へのβ-カロチン投与による肺がんの罹患率の増加が報告され、抗酸化物質が発がんをもたらす可能性が示された。本研究ではがん化学予防を安全かつ有効に進めるため、抗酸化物質などの遺伝子損傷能を指標とした安全性の評価法の開発を目的として、以下の諸点を明らかにした。(1)β-カロチンの代謝物は金属イオンの共存下で活性酸素を生成してDNAを損傷し、またヒト培養細胞内でも低濃度でDNA損傷を起こした。さらに、がんの化学予防に有効とされているビタミンE、フラボノイド類のケルセチン、N-アセチルシステインおよびイソシアネイト類、特にアリルイソシアネイトも同様に金属イオンとの相互作用により酸化的DNA損傷を起こした。従って、これらの物質は抗酸化作用と酸化促進作用の両方の性質を併せもち、安全性の検討が必要であることが明らかになった。(2)フィチン酸(イノシトール6リン酸)やフラボノイド類のルテオリンはDNA損傷を起こさず、酸化促進作用を示さない有効ながん予防物質となりうることを示した。本研究では上記の知見に基づき、培養細胞およびヒトがん関連遺伝子を用いた、DNAの損傷性に基づくがん化学予防物質の安全性を評価する方法を確立するための基盤を整えた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] M.Murata: "Oxidative DNA Damage by Vitamin A and its Derivative via Superoxide Generation"J.Biol,Chem.. 275. 2003-2008 (2000)
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[Publications] S.Ohnishi,: "Copper-dependent DNA Damage Iinduced by Hydrazobenzene,an Azobenzene Metabolite."Free Rad.Rese.. 32. 469-478 (2000)
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[Publications] M.Murata,: "Mechanism of Oxidative DNA Damage Induced by Carcinogenic Allyl Isothiocynate"Free Radical Biol Med.. 28. 797-805 (2000)
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[Publications] K.Midorikawa,: "DNA Damage by Dimethylformamide : Role of Hydrogen Peroxide Generated During Degradation"Chemical Research in Toxicology.. 13. 309-315 (2000)
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[Publications] N.Yamashita: "Distinct Mechanisms of DNA Damage in the Process of Apoptosis Induction by Quercetin and Luteolin"Free Rad.Rese.. 33. 623-633 (2000)
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[Publications] S.Kawanishi,: "Amplification of Pepleomycin-mediated DNA Cleavage and Apoptosis by Unfused Aromatic Cations"Biochemistry. 39. 13210-13215 (2000)
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[Publications] 及川伸二: "酸化ストレス・レドックスの生化学"共立出版. 195 (2000)
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[Publications] Kawanishi,S.: "Oxidants and Anitoxidants in Cutaneous Biology"Karger. 193 (2001)