1998 Fiscal Year Annual Research Report

GC/MSによる有機酸血症の新生児マススクリーニングのための基礎的研究

Research Project

Project/Area Number	10557077
Research Category	Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
Research Institution	Shimane Medical University
Principal Investigator	山口清次島根医科大学, 医学部, 教授 (60144044)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	木村正彦島根医科大学, 医学部, 助手 (00263533)
Keywords	有機酸代謝異常症 / 先天代謝異常 / マススクリーニング / GC / MS
Research Abstract	平成10年度以下の研究を行った. (1) 尿ろ紙を用いる方法の基礎的検討:原尿と尿ろ紙でGC/MS分析の回収率、再現性、診断精度の比較を行った.また遠距離からの搬送を想定して、検体保存条件の検討を28日間まで行った.その結果、原尿と尿ろ紙でクレアチニン、有機酸、アミノ酸の回収率に差がないことを確認した.また保存条件は、室温と4℃で比較したが、少なくとも検討した28日間は化合物の回収率に有意の差はみられないことを観察した.スクリーニング検体としての尿ろ紙の有用性を確かめたので、僻地や外国からの検体にも応用できる. (2) 安定同位体希釈法の応用:我々が以前開発したGC/MSデータ自動処理、自動診断プログラムを安定同位体希釈法に応用した.その結果、必要ならば複数の内部標準物質を設定して高感度な分析が自動的にできることを確認した.実際には、マススクリーニングのアミノ酸分析と、また脂肪酸代謝異常症の診断のためのアシルグリシン分析に応用した. (3) 地域の新生児マススクリーニングの試験研究:島根県地方ので出生した新生児にのうち1400例についてマススクリーニングの試験研究を行った.先天代謝異常は発見されなかったが、約4%の新生児に新生児一過性異常が観察された.現行のマススクリーニングので一過性異常のみられた10例について本スクリーニングの結果と比較したところ、一過性ガラクトース血症8例中3例、高フェニルアラニン血症1例が一致した.しかし、一過性ガラクトース血症5例、メチオニン血症1例では、本試験研究では異常がみられなかった. (4) 今後の課題:安定同位体希釈法の応用拡大.他の誘導体化法による検出感度の改善をはかる.また現在の自動診断プログラムを改良する.

Research Products

(9 results)

All Other

All Publications (9 results)

[Publications] Sasaki M: "3-Hydroxyisobutyric aciduria in two brothers" Pediatr Neurol. 18. 253-255 (1998)
[Publications] Fu X-W: "Pilot study on mass screening for inborn errors of metabolism by gas chromatography mass spectrometry : eighteen months experience in Shimane area" Shimane J Med Sci. 16. 23-27 (1998)
[Publications] 山口清次: "GC/MSによるマススクリーニング法の検討:ウレアーゼ処理直接乾固法と溶媒抽出法の比較" 臨床検査. 42. 357-363 (1998)
[Publications] 木村正彦: "尿路感染を契機に発見されたシスチン尿症の2例-GC/MSによる生化学診断の試み-" 小児科診療. 61. 290-295 (1998)
[Publications] 山口清次: "有機酸代謝異常:概論" 日本臨床、別冊. 18. 261-266 (1998)
[Publications] 山口清次: "グルタル酸尿症2型" 日本臨床、別冊. 18. 362-365 (1998)
[Publications] 井上真: "わが国におけるミトコンドリア脂肪酸β酸化異常症の実態" 日本小児科学会雑誌. 102. 753-758 (1998)
[Publications] 岡部貴裕: "重症乳児湿疹様皮疹、頑固な下痢を契機に発見されたホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症の1例" 日本小児科学会雑誌. 102. 796-801 (1998)
[Publications] 山口清次: "乳幼児に突然死をきたす先天代謝異常:そのアプローチ" 小児内科. 30. 499-504 (1998)

1998 Fiscal Year Annual Research Report

GC/MSによる有機酸血症の新生児マススクリーニングのための基礎的研究

Principal Investigator

山口 清次 島根医科大学, 医学部, 教授 (60144044)

Research Products

[Publications] Sasaki M: "3-Hydroxyisobutyric aciduria in two brothers" Pediatr Neurol. 18. 253-255 (1998)

[Publications] Fu X-W: "Pilot study on mass screening for inborn errors of metabolism by gas chromatography mass spectrometry : eighteen months experience in Shimane area" Shimane J Med Sci. 16. 23-27 (1998)

[Publications] 山口清次: "GC/MSによるマススクリーニング法の検討:ウレアーゼ処理直接乾固法と溶媒抽出法の比較" 臨床検査. 42. 357-363 (1998)

[Publications] 木村正彦: "尿路感染を契機に発見されたシスチン尿症の2例-GC/MSによる生化学診断の試み-" 小児科診療. 61. 290-295 (1998)

[Publications] 山口清次: "有機酸代謝異常:概論" 日本臨床、別冊. 18. 261-266 (1998)

[Publications] 山口清次: "グルタル酸尿症2型" 日本臨床、別冊. 18. 362-365 (1998)

[Publications] 井上真: "わが国におけるミトコンドリア脂肪酸β酸化異常症の実態" 日本小児科学会雑誌. 102. 753-758 (1998)

[Publications] 岡部貴裕: "重症乳児湿疹様皮疹、頑固な下痢を契機に発見されたホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症の1例" 日本小児科学会雑誌. 102. 796-801 (1998)

[Publications] 山口清次: "乳幼児に突然死をきたす先天代謝異常:そのアプローチ" 小児内科. 30. 499-504 (1998)

山口清次島根医科大学, 医学部, 教授 (60144044)