1999 Fiscal Year Annual Research Report
GC/MSによる有機酸血症の新生児マススクリーニングのための基礎的研究
Project/Area Number |
10557077
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
山口 清次 島根医科大学, 医学部, 教授 (60144044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 正彦 島根医科大学, 医学部, 講師 (00263533)
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Keywords | 有機酸代謝異常症 / 先天代謝異常 / マススクリーニング / GC / MS / 新生児 |
Research Abstract |
平成11年度、以下のような研究を行った。 1)乾燥尿ろ紙検体からの溶媒抽出による分析の検討: 有機酸分析のために遠隔地から検体を搬送する際、尿をドライアイスとともに搬送することはマススクリーニングを展開する上で障害となる.そこで、乾燥尿ろ紙に蒸留水を染み込ませてろ液を遠心して回収し、そのろ液をオキシム化して溶媒抽出する方法の有用性を検討した.その結果、αケト酸以外の有機酸に関しては尿と変わらないこと、αケト酸のうち分枝鎖有機酸、ピルビン酸の分析に関しては問題ないが、フェニルピルビン酸、サクシニルアセトンなど芳香族のαケト酸はろ紙で搬送されると分解することがわかった.尿ろ紙を用いる搬送法の有用性と限界を理解した上でこの方法を新生児マススクリーニングに応用できることを確認した. 2)安定同位体希釈法によるアシルグリシン分析による脂肪酸代謝異常症の診断: 安定同位体(エチルマロン酸、グルタル酸、イソバレリルグリシン、ヘキサノイルグリシン、スベリルグリシン、ドデカンジエン酸)を内部標準として加え、尿中有機酸を高感度測定する方法を確立した.β酸化異常症9例とケトーシス患者数名の尿を分析し、診断の有用性を確認した. 3)有機酸代謝異常症の新生児期の発症時期の検討 スクリーニングを行う時期を検討するため、申請者らの施設で新生児期に診断した有機酸血症患者12例の発症形態を調べた.12例中10例は生後5日以前に何らかの異常に気づかれていた.このことから、有機酸血症のスクリーニングはできるだけ早期がよい(生後2、3日以内)、家族歴異常などリスクのある患者では出生前から検査の準備をするなどの配慮が必要である、という結論を得た. (平成12年度の計画)平成12年度は、平成10年度、11年度の基礎的研究成果をふまえて、実際のスクリーニングへの尿ろ紙の応用、分析感度向上の検討などを検討したい.
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Research Products
(10 results)
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[Publications] Kimura M.: "A personal computer-based system for interpretation of gas chromatography mass spectrometry data in the diagnosis of organic acidemias"Ann Clin Biochem. 36. 671-672 (1999)
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[Publications] Kimura M.: "Automated metabolic profiling and interpretation of GC/MS data for organic acidemia screenng:a personal computer-based system"Tohoku J Exp Med. 188. 317-334 (1999)
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[Publications] Kimura M.: "Screening for fatty acid beta oxidation disorders Acylglycine analysis by electron impactionization gas chromatography-mass spectrometry"J Chromat B. 731. 105-110 (1999)
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[Publications] Fujiwaki T.: "Application of delayed extraction matrix-assisted laser desorption ionization time-of-flight mass spectrometry for analysis of sphingolipids in tissues from sphingolipidosis patients"J Chromat B. 731. 45-52 (1999)
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[Publications] Kuhara T.: "Pilot study of gas chromatographic -mass spectrometric screening of newborn urine for inborn errors of metabolism after treatment with urease"J Chromat B. 731. 141-147 (1999)
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[Publications] 山口清次: "GC/MS技術を応用した微量尿分析による有機酸代謝異常の多疾患診断・スクリーニング"小児科. 40. 1226-1232 (1999)
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[Publications] 伊賀三佐子: "乳幼児の突然死と先天代謝異常症"小児科. 40. 1743-1751 (1999)
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[Publications] 伊賀三佐子: "新生児有機酸代謝異常スクリーニングの検査時期の検討"日本医用マス・スクリーニング学会誌. 9(3). 31-37 (1999)
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[Publications] 山口清次: "先天代謝異常に伴う新生児死亡とその対策"周産期医学. 29. 1483-1490 (1999)
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[Publications] 山口清次: "先天代謝異常と突然死:その病態"小児科診療. 63. 400-407 (2000)