1999 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞認識ヒト悪性黒色腫抗原の単離とそれを用いた免疫遺伝子治療法の開発
Project/Area Number |
10557083
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河上 裕 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50161287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 武二 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50051579)
鈴木 ゆり子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40255435)
池田 英之 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (40301494)
山本 明史 国立がんセンター中央病院, 医長
斎田 俊明 信州大学, 医学部, 教授 (10010381)
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Keywords | メラノーマ / 腫瘍抗原 / T細胞 / cDNA発現クローニング / メラノソーム蛋白 / P-ループ / 突然変異 / 免疫療法 |
Research Abstract |
本研究ではT細胞が認識するメラノーマ抗原の単離を行い、T細胞の癌細胞認識機構の解明と、免疫療法開発のための抗原の特性の解析を目的とした。平成11年度は、前年度に樹立して抗原特異性とHLA拘束性を検討したHLA-A1拘束性T細胞を用いて、cDNA発現クローニング法により、新規メラノーマ抗原をコードするcDNAを単離して、その解析を行った。単離抗原cDNAは、ESTデータベースに登録されている機能不明蛋白をコードしており、その全長のcDNAを5'-、3'-RACE法を用いて解析し、PCRにより全長cDNAを単離した。この遺伝子はほとんど全ての組織に発現していた。癌細胞には片方のアリルに突然変異が存在し、アミノ酸置換が起こっていた。他の約10種のメラノーマ細胞株を調べたが、同様な突然変異は検出されなかった。エピトープを同定するために、まず、PCRで作製した各種サイズのcDNA断片の産物に対するT細胞反応を検討してエピトープの存在部位を推定し、次に、その領域における候補エピトープをHLA-A1結合モチーフを用いて予想して合成ペプチドを作製し、その認識を検討した。その結果、突然変異に由来する変異アミノ酸を含む11merペプチドをT細胞エピトープとして同定した。T細胞はこの分子の変異のない正常ペプチドを認識せず、癌細胞に生じた遺伝子異常に対する腫瘍特異的なT細胞応答であることが判明した。遺伝子・蛋白構造からは、この蛋白の機能を十分に推定できなかったが、この遺伝子にはATPやGTPの結合部位の可能性のあるphosphate-binding loop(P-loop)が存在し、GTPが結合することが判明した。また、突然変異はP-loopに存在し、変異蛋白はGTP結合能を消失していた。今後NIH3T3トランスフォームアッセイなどを用いて、この変異分子の腫瘍生成における意義を検討する。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kawakami,Y.et al: "Identification of new melanoma epitopes on melanosomal proteins recognized by tumor infiltrating T lymphocytes restricted by HLA-A2,-A2,and -A3 alleles"J.Immunol.. 161. 6985-6992 (1998)
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[Publications] Kawakami,Y.: "New cancer therapy by immunomanipulation:Development of immunotherapy for human melanoma as a model system"Cornea,. (in press).
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[Publications] Kawakami,Y.et al: "T cell responses to melanoma and melanocytes"Pigment Cell Research. (in press).
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[Publications] Kawakami,Y.et al: "Recognition of shared melanoma antigens in association with major HLA-A alleles by tumor infiltrating T lymphocytes from 123 patients with melanoma"J.Immunother.. (in press).
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[Publications] Kawakami,Y.: "Recent Advances of Human Tumor Immunology and Immunotherapy"Karger,Tokyo. 10 (1999)
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[Publications] Kawakami,Y.: "Cell Therapy"Sprinter-Verlag,Tokyo (inpress).