2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10557103
|
Research Institution | INSTITUTE FOR MOLECULAR AND CELLULAR RBGULTION (I.M.C.R.), GUNMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
為本 浩至 群馬大学, 生体調節研究所, 講師 (90292630)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 哲郎 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (00212952)
|
Keywords | PPARγ / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
我々はインスリン抵抗性改善剤のチアゾリジンジオン誘導体(TZD)のターゲットであるPPARγ1のノックアウトマウスを作製した。予想に反しホモのノックアウトマウスは胎児致死であった。死亡する前のホモの胎児から得られた繊維芽細胞は脂肪細胞への分化誘導に抵抗性を示し、PPARγの脂肪細胞分化における重要性を裏書きした。ヘテロの個体は通常の食餌を与えられている状態では一見正常であったが高脂肪食負荷に際して野生型に比して肥満しにくいという興味深い所見を呈した。また、高脂肪食負荷でヘテロマウスはインスリン負荷テストで肥満に伴うインスリン抵抗性が現れにくかった(窪田他,1999)。胎児死亡の原因を解析するため胎児および胎盤の解析を行った。胎児は胎生10日から11日の間に死亡し、大きな解剖学的異常を認めなかった。この時期の胎児死亡は胎盤機能不全が重要な原因となりうるため胎盤の組織を調べた。ホモの胎児の胎盤は物質交換に重要なラビリンスと呼ばれる領域の発達が不十分であり、正常では柵状に配列する血管の配列が乱れていた。また間質に大小不同のある顆粒状の物質の蓄積を認めた。以上より胎盤発達におけるPPARγの重要性が明らかとなった。ホモのノックアウトマウスは胎児致死であり、ホモの個体からcDNAライブラリーを作製することはできなかった。PPARγの作用とインスリン抵抗性の関係をより明らかにするため、ヒトのインスリン抵抗性患者から発見されたPPARγのネガティブドミナント変異体(Pro427Leu)を作製した。これをトランスジェニックマウスに発現させ、組織特異的に発現させることで、筋肉、脂肪それぞれに特異的に発現させた場合にインスリン抵抗性が見られるか検討することを計画した。この目的でCreリコンビネースを作用させることで発現が誘導されるベクターのシステムを利用した。医科学研究所の斉藤教授らの開発したpCALNlwベクターに変異PPARγ遺伝子を組み込んだベクターを作製した。このベクターはネオマイシン耐性遺伝子をはさんでCAGプロモーターの下流に目的遺伝子を組み込むものである。Creによる処理でネオマイシン耐性遺伝子が切り取られ、目的の遺伝子が発現する。さらにトランスジェニックマウス作製の際に発現レベルを上げるためにウサギのβグロビン遺伝子のエクソン2-3の部分をPPARγ遺伝子の上流に挿入した。現在このベクターを用いてトランスジェニックを作製する計画中である。
|
-
[Publications] Ueki K,Yamauchi T,Tamemoto H. et al.: "Restored insulin-sensitivity in IRS-1-deficient mice treated by adenovirus-mediated gene therapy."J Clin Invest.. 105(10). 1437-45 (2000)
-
[Publications] Terauchi Y,Kubota N,Tamemoto H. et al.: "Insulin effect during embryogenesis determines fetal growth : a possible molecular link between birth weight and susceptibility to type 2 diabetes."Diabetes.. 49(1). 82-86 (2000)
-
[Publications] Kubota,N. et al: "PPAR gamma mediates high-fat diet-induced adipocyte hypertrophy an resistance"Mol.Cell. 4(4). 597-609 (1999)
-
[Publications] Hiroyuki Tamemoto et al: "The role of peroxysome proliferator activated receptor g (PPARg) in the development of mouse placenta"Placenta. 20. A-4 (1999)
-
[Publications] Hirayama,I. et al: "Insulin receptor-related receptor is expressed in pancreatic beta-cells and stimulates tyrosine phosphorylation of insulin receptor substrate-1 and -2"Diabetes. 48(6). 1237-44 (1999)
-
[Publications] 為本浩至,泉哲郎,竹内利行: "分子糖尿病学の進歩-基礎から臨床まで-2000Aktキナーゼによる転写因子FKHRの制御"金原出版. (2000)