2000 Fiscal Year Annual Research Report
臨床使用されている生体由来医用材料の完全合成代替材料の開発
Project/Area Number |
10557110
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩田 博夫 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (30160120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 高茂 グンゼ株式会社, メディカル材料センター・研究開発課, 課長
滝 和郎 三重大学, 医学部, 教授 (70144368)
井上 一知 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (90168435)
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Keywords | 完全合成代替品 / ヒト乾燥硬膜 / フィブリン接着剤 / 乳酸-カプロラクトン共重合体 / HIV / 肝炎ウイルス / ヤコブ・クロイツフェルト病 / 狂牛病 |
Research Abstract |
現在医療の現場で種々の生体由来物質が使用されている。しかし、これらの使用によりHIV、肝炎ウイルスやヤコブ・クロイツフェルト病、さらに狂牛病とウイルスやプリオンの患者への感染の危険性が指摘され、WHOは生体由来材料の医用材料としての使用をひかえるように勧告をだしている。 本研究で、生体由来材料品の完全合成代替品の開発の対象としているものには、ヒト乾燥硬膜、肺切除に用いる自動吻合機の補助材であるグルタールアルデヒド固定牛心のう膜、フィブリン接着剤、ゼラチン等を用いた癒着防止膜等がある。ヒト乾燥硬膜代替品に関しては臨床治験を既に終了した。固定牛心のう膜の代替品として乳酸-カプロラクトン共重合体のフィルムの開発を進め、動物の肺を用いた長期評価実験を終了した。空気漏れ防止効果、局所感染、他の副作用等は固定牛心のう膜と同等であり、また、30週経過後には吸収されて消失する利点があった。フィブリン接着剤の代替品として、デキストラン、澱粉やキトサン由来の多糖を成分とした2液性接着剤の開発を進めている。硬化速度と接着性ともフィブリン接着剤に相当するものが開発できたが、医療の現場では現行のフィブリン接着剤の接着力に決して満足しているわけではなく、より接着力の強いものが望まれている。現在、接着性を高めるべく研究を行っている。癒着防止膜については、乳酸-カプロラクトン共重合体のスポンジフィルムを検討してきた。その癒着防止効果を鶏の屈筋腱傷害モデルにより評価した。現在のところ組織学的検討ではその有効性が明らかであるが、機能面での有効性評価では未だ解決しなければならない問題点を残している。後者の問題は評価モデルや術式にも関連するので、他の動物モデルを用いて評価する必要がある。ものによっては当初の計画より若干遅れているものもあるが、おおむね順調に研究は進んだ。
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[Publications] E.Itoh: "Synthetic absorbable film for prevention of air leaks after stapled pulmonary resection"J.Biomed.Mater.Res.(Appl.Biomater.). 53. 640-645 (2000)
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[Publications] X.Mo: "Soft tissue adhesive composed of modified gelatin and polysaccharides"J.Biomater.Sci.Polymer Edn. 11・4. 341-351 (2000)
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[Publications] H.Oowaki: "Non-adhesive cyanoacrylate as an embolic material for endovascular neurosurgery"Biomaterials. 21. 1039-1046 (2000)