1998 Fiscal Year Annual Research Report
癌性腹膜炎に対する細胞接着阻害剤S-Dex誘導体の開発と実用化の研究
Project/Area Number |
10557121
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
萩原 明郎 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (90198648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪倉 長平 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (10285257)
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Keywords | 癌転移予防 / 癌性腹膜炎 / 接着因子阻害剤 / 硫酸デキストラン / 腹膜播種 / 動物実験 / B16メラノーマ / 細胞周期 |
Research Abstract |
硫酸デキストラン誘導体の内で、分子量が約50万で生食中に溶解した時のPHが7.4に近いものを各種検討し、その内で多くのヒト癌細胞に対しても接着阻害作用を有するもの(S-DEX-50-99)を見出した。今年度の実験では、初年度の計画の予定に従い実験を行い、以下に述べるような結果を得た。 (1) S-DEX-50-99は、複数種類のヒト消化器癌やヒト肉腫の細胞に対して、IN VITROでプラスチック壁への接着を低濃度で阻止した。この効果は、S-DEX-50-99を一旦作用させた後に、S-DEX-50-99を培養液から取り除いた後でも持続することが判明した。 (2) ビーグル犬を用いた腹腔内滞留実験では、S-DEX-50-99は分子量2万5000のものに比較して有意に腹腔内滞留性に優れていた。 (3) S-DEX-50-99は体重あたり0.1mg/gの投与量で腫瘍細胞の接着を有意に阻止した。 接着阻止効果は、腫瘍細胞と同時に投与しても、約30分以内に後投与しても、また約1時間前投与しても認められた。 (4) S-DEX-50-99の安全性を検討するために、マウスやビーグル犬を用いた実験により、腹腔内投与時の急性毒性実験を行った。十分な接着阻止が可能な投与量の2倍の投与量(0.2mg/g)でも、観察期間の間に全く中毒症状、毒性死や病理組織学的検討上の異常所見は認められなかった。 (5) 各種の癌細胞に対する直接的殺細胞効果をIN VITROで検討した。アポトーシス検出キットとMTTアッセイによって、細胞に対するアポトーシスやネクローシス惹起を検討したが、各種腫瘍細胞や正常細胞の何れにおいてもネクローシスもアポトーシスを来さず、S-DEX-50-99はこれらの細胞に対する直接的な殺細胞効果を持たないことが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)