2000 Fiscal Year Annual Research Report
心移植後慢性拒絶反応の病態の解明と治療体系の確立に関する研究
Project/Area Number |
10557122
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
白倉 良太 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00116047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福嶌 教偉 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30263247)
澤 芳樹 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00243220)
宮川 周士 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90273648)
榊田 悟 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90311753)
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Keywords | 慢性拒絶反応 / ラット異所性心移植 / 戻し心移植法 / 定量RT-PCR法 |
Research Abstract |
ラット戻し心移植モデルでの慢性拒絶反応の病態解析をさらに進めた。本モデルで血管病変の進展期に認められるアロ抗原非特異的な移植心への単球浸潤の分子機構に関して検討した。ラットで核酸配列既知の全ての接着分子とケモカイン/ケモカイン受容体分子のmRNAを定量的に測定するシステムをTaqMan assayを用いて作成した。その結果、 1:各接着分子(ICAM1,VCAM1,E-selectin,P-selectin)は再移植後3,5日再移植心に何れも長期間高度に発現誘導されるが、両群間に有意の差はない。 2:ケモカイン系ではIP10-CXCR3,RANTES-CCR5,MCP1-CCR2が血管病変を発生する5日再移植心に選択的かつ高度に発現誘導される。という2点の事が明かとなった。すなわち、心慢性拒絶反応の発生に接着分子が関与する可能性は高いが、それのみでは単球浸潤の差は説明できず、さらに上記の選択的なケモカイン系が関与する可能性があるものと考えられた(第36回移植学会)。 また、本研究で技術開発されたTaqMan assayの臨床診断への応用の可能性の検討から以下の2つのことが明かとなった(論文発表)。 3:ラット心肥大モデルでの心筋中のHGF/c-Met系の発現検討から、本分子の心肥大における新しい意義が明らかになった。 4:重症筋無力症合併胸腺種患者の手術切除標本を用いたmRNA解析の結果から、MHC class II遺伝子発現に重要な転写因子CIITAの発現と重症筋無力症発生の間に関係があることを示唆するデータが得られた。臨床移植は未だ数が少なく、心筋生検には危険も伴うので、直接本法の慢性拒絶反応における診断価値を臨床移植患者で検討することは許されなかったが、この2点から本法が移植以外の疾患の診断に広く応用な診断法となる可能性があり、実際臨床患者材料を用いて行い得る手法であることが示された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Tori,S.Kitagawa-Sakakida,Z.Li,H.Izutani,K.Horiguchi,T.Ito,H.Matsuda,R.Shirakura: "Initial T-cell activation required for transplant vasculopathy in retransplanted rat cardiac allografts."Transplantation. 70・5. 737-746 (2000)
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[Publications] S.Kitagawa-Sakakida,M.Tori,Z.Li,K.Horiguchi,H.Izutani,H.Matsuda,R.Shirakura: "Active cell migration in retransplanted rat cardiac allografts during the course of chronic rejection."Journal of Heart and Lung Transplantation. 19・6. 584-590 (2000)
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[Publications] Y.Kadota,S.Okumura,S.Miyoshi,S.Kitagawa-Sakakida,...S.Shirakura, et al.: "Altered T cell development in human thymoma is related to impairement of MHC class II transactivator expression induced by interferon-gamma (IFN-γ)."Clinical and Experimental Immunology. 121. 59-68 (2000)
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[Publications] 岩田圭司,澤芳樹,大竹重彰,西村元延,榊田悟,松田暉: "ラット容量負荷肥大心におけるHGF/c-Metの発現についての検討"心筋の構造と代謝-1999-. 22. 161-164 (2000)
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[Publications] 榊田悟,藤原大美: "新移植免疫学 第3章 移植抗原認識機構と急性拒絶反応"中外医学社. 24 (2000)
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[Publications] 榊田悟: "新移植免疫学 第4章 慢性拒絶反応と異種移植片拒絶反応"中外医学社. 21 (2000)