1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10557150
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小池 卓二 東北大学, 大学院・工学研究科, 講師 (10282097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 仁 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30111264)
川瀬 哲明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (50169728)
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Keywords | 中耳 / 耳小骨 / 可動性 / 測定 / 伝音特性 / 鼓室形成術 |
Research Abstract |
現在、耳小骨固着による難聴の改善のために行われている鼓室形成術において、アブミ骨の可動性を確認することは重要である。しかし、アブミ骨の固着の程度を、術前あるいは術中に、客観的に判断する手法は、これまで確立されていない。そこで、本研究では、歪みゲージを張り付けた金属梁と圧電アクチュエータおよびマニピュレータを組み合わせることにより、力・変位センサを作製し、可動性計測システムを構築した。そして、モルモットとウサギの正常および人工的に固着させたアブミ骨の可動性を計測し、この計測システムによる固着病変の診断可能性を検討した。また、術中での使用を考慮し、本来マニピュレータに固定してあるセンサを、手で保持した状態で計測することを試みた。その結果、以下の知見を得た。 1.モルモットおよびウサギアブミ骨の反力・変位計測を行ったところ、反力は、小変形領域では変位に対して線形に増加し、変形が大きくなると非線形に増加した。小変形領域でのstiffnessを求めた結果、モルモットの正常なアブミ骨では16±7N/m、ウサギでは115±25N/mとなった。 2.瞬間接着剤を輪状靭帯周辺に滴下して作製した、実際に近い人工固着耳のstiffnessは、正常耳のそれと明確な差異が見られた。このことから、本計測システムによる固着病変の診断が可能であることが示唆された。 3.臨床応用に向けた計測手法として、センサを手で保持し、0.02秒程度の比較的短い時間で可動性計測を行った。その結果、蝸牛および靭帯の粘性などは、可動性計測に影響を与えず、また、センサを持つ手のぶれの影響が軽減されることが明らかとなった。 今後、上記の結果をもとに、実際のヒトの術中に使用可能な小型センサを作製し、安全性、有用性を確認し、臨床応用を目指す。
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