2000 Fiscal Year Annual Research Report
脈絡膜血管新生の水溶性高分子による薬物ターゲティング
Project/Area Number |
10557154
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
本田 孔士 京都大学, 医学研究科, 教授 (90026930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田畑 泰彦 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (50211371)
桐生 純一 京都大学, 医学研究科, 講師 (80281096)
中河 静枝 武田薬品工業株式会社, 創薬研究所, 主席研究員
安川 力 京都大学, 医学研究科, 助手 (00324632)
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Keywords | 脈絡膜新生血管 / ドラッグターゲティング / 水溶性高分子 / モノクローナル抗体 / インテグリン / 亜鉛イオン / 配位結合 / インターフェロンβ |
Research Abstract |
昨年度にin vivoにおいて研究したモノクローナル抗体を用いた能動的ターゲティングに関して報告した.本年度は昨年同様に抗体の標的として新生血管内皮細胞に発現するインテグリンαvβ3を選択し、カルボキシデキストランにマイトマイシンC(MMC)を多数結合させ、conjugate(MMCD)を作製した.さらにMMCDに抗インテグリン抗体(mAb)を結合させてimmunoconjugate(MMCD-mAb)を作製した.またコントロールとして抗サイトケラチン抗体をMMCDに結合させたもの(MMCD-irrelevant Ab)も作製した.ラットレーザー脈絡膜新生血管(CNV)モデルに対する効果をMMCD静注群、MMCD-irrelevant Ab静注群、MMCD-mAb静注群で比較検討したところ、MMCD-mAb投与群で有意な新生血管抑制効果を認めた.この結果は、ラットCNVのように血管漏出の少ないCNVに対しては、高分子修飾による薬剤集積効果だけでは不十分で、さらなるモノクローナル抗体修飾により新生血管選択性を向上させることで新生血管抑制効果が期待できることを示している.人間のCNVにおいてはいわゆるoccult typeのCNVは血管漏出が少なく、このタイプのCNV症例に対してモノクローナル抗体を用いた能動的ターゲティングを応用すれば治療効果が期待できる可能性がある. また血中の半減期や生理活性の低下の問題により薬剤としては生体での効果が得られにくい生理活性ポリペプチドまたはタンパクの受動的ターゲティングの方法として、研究分担者である田畑が金属配位結合を利用したシステムを開発している.このシステムは薬物複合体作製時のペプチドの失活が少なく、手法が簡便であるという点で優れている.これを利用して血管新生抑制作用を有するインターフェロンβ(IFNβ)の家兎実験的CNVへのターゲティングについて昨年に引き続き本年度も研究した.IFNβを亜鉛イオン存在下でジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)を結合させたデキストラン(DTPA-Dex)水溶液と混合すると、配位結合を介して薬物複合体を形成した(IFNβ-DTPA-Dex).家兎実験的CNVモデルに対する抑制効果をIFNβ-DTPA-Dex静注群、IFNβ単独投与群で比較検討したところ、IFNβ-DTPA-Dex静注群で有意な血管新生抑制作用を認めた.CNVに対するタンパクのドラッグデリバリーシステムは未だ報告されておらず、この成果は非常に意義のあるものと考えられる.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yasukawa T, et al.: "Targeted delivery of anti-angiogenic agent TNP-470 using water-soluble polymer in the treatment of choroidal neovascularization."Invest Ophthalmol Vis Sci.. 40. 2690-2696. (1999)
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[Publications] Miyamoto H, et al.: "Effect of focal X-ray Irradiation on experimental choroidal neovascularization."Invest Ophthalmol Vis Sci.. 40. 1496-1502 (1999)
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[Publications] Miyamoto H, et al.: "Suppression of experimental corneal angiogenesis by focal X-ray irradiation."Curr Eye Res.. 19. 53-58 (1999)
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[Publications] Yang CF, et al.: "Experimental corneal neovascularization by basic fibroblast growth factor impregnated in gelatin hydrogel."Opthalmic Res.. 32. 19-24 (2000)
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[Publications] Yasukawa T, et al.: "Active Drug Targeting with immunoconjugates to choroidal Neovascularization."Curr Eye Res.. (in press).
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[Publications] Yasukawa T, et al.: "Biodegradable scleral implant for intravitreal controlled release of ganciclovir."Graefe's Ophthalmol.. (in press).