2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10557161
|
Research Institution | TOKYO DENTAL COLLEGE |
Principal Investigator |
阿部 伸一 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (40256300)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井出 吉信 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (20103377)
渡邊 弘樹 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (00158651)
上松 博子 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (10085821)
|
Keywords | インプラント / 下歯槽管 / オトガイ神経 / PVAスポンジ / 歯肉 / 歯根膜 |
Research Abstract |
本研究の目的は現在使用されているインプラントがより生体と調和するためには何が必要であるか、基礎的な解剖学的研究を行うことにあり、申請期間中に主に下記3点についての結果を得ることができた。 1.PVAスポンジの歯肉接触面への応用の可能性:PVAスポンジを実験動物の損傷部に埋め込み、生体の反応を観察した。このPVAスポンジは生体親和性に優れており、吸水性があり、各種薬剤を染み込ませることもできる。その結果、組織内でPVAスポンジ異物排除されることなく存在し、周囲組織の侵入により、強固な結合が確認された。インプラント体の歯肉接触部位に応用すれば、上皮の侵入を防ぎ、インプラントの予後に有効である可能性が示唆された 2.PVAスポンジ上での細胞の動態:上記の実験結果を踏まえ、PVAスポンジ上における各種細胞の動態を追った。PVAスポンジは親水性のものと、疎水性のものを選び、シャーレ上のコントロール群と比較検討した。計測は3日から6日まで経時的変化を追った。その結果疎水性のPVAスポンジはほとんど細胞が増殖しなかった。親水性のPVAスポンジとコントロール群を比べると、親水性のPVAスポンジが有意に増殖した。このことから吸水性PVAスポンジの有用性が示唆された。 3.インプラント体周囲組織の解剖学的基礎研究結果:材料の開発と併せて、下顎骨の構造、また周囲軟組織、そして神経、血管の解剖学的検索を行った。無歯顎の上、下顎骨内部では、下顎管壁が非常に厚くなること、後上歯槽動脈が非常に細くなることなどのインプラント体を埋入する対象の無歯顎の顎骨の特徴、また、顎骨周囲の神経としてオトガイ神経の観察を行ったところ、オトガイ神経の3本の枝のうち下顎骨に沿うパターンを持つものは、吸収した骨の上縁近くを沿う場合があり、インプラント施術の際に注意が必要であることが明かとなった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Abe, S., Watanabe, H. et al.: "Morphological study of the femur in osteopetrotic(op/op) mice using microcomputed tomography"Brit J Radiol,. 73. 1078-1082 (2000)
-
[Publications] 高橋正憲, 小柳貴裕, 高尾 努, 田中陽一, 阿部伸一, 松坂賢一: "鶏卵漿尿膜上で培養された幼弱骨膜からの骨形成過程の組織学的検討"歯科学報. 100(11). 1081-1089 (2000)
-
[Publications] Abe, S., Watanabe, H. et al.: "Application of PVA sponge as a biomaterial-Implantation of PVA sponge into masseter muscle-"Dent Jpn. 36. 9-11 (2000)
-
[Publications] 市川敬一, 阿部伸一, 井出吉信: "歯牙喪失による下顎管の位置、構造及びその周囲骨梁構造の変化"インプラント学会誌. 11. 477-491 (1998)
-
[Publications] Yamaura, T., Abe, S., Tamatsu, Y., Rhee, S., Hashimoto, M., Ide, Y.: "Anatomical study of maxillary tuberosity in japanese men"Bull. Tokyo dent. Coll.. 39. 287-292 (1998)
-
[Publications] Nakajima, K., Onoda, Y., Okada, M., Abe, S., Ide, Y.: "A study of the internal structure of the mandibular ramus in Japanese"Bull. Tokyo dent. Coll.. 39. 57-65 (1998)