1998 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌膜脂質と同組成のリポソーム・抗EGF受容体抗体複合体のターゲッティング療法
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10557191
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
虎谷 茂昭 広島大学, 歯学部附属病院, 講師 (90172220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 哲治 広島大学, 歯学部, 教授 (00169153)
尾崎 輝彦 広島大学, 歯学部, 助手 (60243581)
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Keywords | 抗癌剤 / リポソーム / 上皮成長因子受容体抗体 / 膜脂質組成 / 扁平上皮癌細胞 / 唾液腺腺癌細胞 |
Research Abstract |
癌化学療法において抗癌剤や腫瘍組織型の違いにより有効性が異なることは臨床の場において経験することである。我々は無血清培養の条件下に扁平上皮癌細胞(SCC)と唾液腺由来細胞(SAC)を用いて各種の抗癌剤に対する感受性の相違について検討した。この条件下ではSCCはSACに比べて親水性のcisplatin(CDDP)に対して抵抗性を示した。一方,疎水性のadriamycin(ADM)やpeplomycin(PEP)はSACに比較してSCCに対して強い殺細胞作用を示した。そこで薬剤の能動輸送を決定すると考えられる膜透過性を検討するため,それぞれの細胞膜の脂質組成を分析した。その結果,SCCでは膜脂質の70%以上がphospholipidであり,残りはcholesterolであった。一方,SACでは80%以上がneutral lipidで,残りはphospholipidで占められていた。SACのneutral lipidの上昇は細胞膜の流動性の低下を招き,CDDPの細胞内濃度の上昇をきたしたものと考えられた。しかしSCCの膜脂質はphospholipidの割合が高いため膜の流動性はSACに比べて高く,ADMやPEPに対する感受性が高くなったものと考えられた。この結果から,抗癌剤の感受性を決定する因子として膜の脂質組成の相違が考えられた。 そこでSCCの細胞膜脂質と同組成の脂質からなる抗癌剤封入リポソームを作成し,培養細胞に作用させた。その結果,抗癌剤単独処理に比べて抗癌剤封入リポソームはSCCに対して殺細胞効果の増強を示したが,SACに対しては抗癌剤単独処理とも差がなかった。またSCCやSACにおいて上皮成長因子(EGF)受容体が過剰発現していることから,EGF受容体に対するモノクロナール抗体(12-93)を作製し,抗癌剤封入リポソームにアビチン・ビオチン法を用いて本抗体を結合させ培養細胞に対する抗腫瘍効果について検討した。その結果,SCCおよびSACに対して抗癌剤封入リポソームに比較して高い抗腫瘍効果を有している可能性が示唆された。
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