2000 Fiscal Year Annual Research Report
発生工学的手法を用いた新たな口唇口蓋裂マウスの開発-生殖細胞の繁殖能と遺伝様式に関する研究-
Project/Area Number |
10557194
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
夏目 長門 愛知学院大学, 歯学部・口腔外科学第二講座, 特殊診療科教授 (90183532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新美 照幸 愛知学院大学, 歯学部・口腔外科学第二講座, 助手 (60291762)
古川 博雄 愛知学院大学, 歯学部・口腔外科学第二講座, 助手 (70291763)
河合 幹 愛知学院大学, 歯学部・口腔外科学第二講座, 名誉教授 (50064788)
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Keywords | 発生工学 / 口唇裂 / 口蓋裂 / A / Jマウス / 生殖細胞 |
Research Abstract |
口唇、口蓋裂多発系マウスに自然発生する口唇、口蓋裂は、その発生原因が不明であり、遺伝要因と環境要因が考えられている。我々は口唇、口蓋裂の発生原因を実験的に検討するために、研究協力者吉田香(藤田保健衛生大学・医学部・研究生)と共に口唇、口蓋裂多発系マウスの生殖細胞を口唇、口蓋裂非発生系マウスに移植し、口唇、口蓋裂多発系マウスの胎仔を口唇、口蓋裂を本来発生しない母胎内環境にて発育させた結果、口唇、口蓋多裂発系マウスの母胎内で育てた場合と、口唇口蓋裂発生率に有意な差は観られなかった。このことにより母胎内環境要因よりも胎仔自身の遺伝的要因により、口唇、口蓋裂の発現が影響されるであろうということが示唆された。この結果を踏まえ、実際に遺伝育種学的手法を用い、口唇、口蓋裂多発系マウスを口唇口蓋裂非発生系マウスに代々backcrossを行った。その結果、口唇口蓋多裂発系マウス由来の遺伝子頻度の上昇に伴い、その胎仔に観られる口唇、口蓋裂の発生率が上昇することが観察された。この結果の解析から、口唇、口蓋裂の発生が自然交配により、他の口唇口蓋裂非発生系マウスに継続されることが確認され、口唇、口蓋裂発生要因としての遺伝要因の存在を明らかにすることができた。また、その遺伝様式は各世代の口唇口蓋裂発生率の比較から、「優性遺伝ではないこと」、「単一遺伝子によるものでないこと」が観察され、複数の劣性遺伝子によることが示唆された。
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