1998 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者(80歳)の口腔領域に由来する全身健康促進因子の研究
Project/Area Number |
10557200
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
花田 信弘 国立感染症研究所, 口腔科学部, 部長 (70180916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 大輔 岩手医科大学, 歯学部, 助教授 (90146085)
米満 正美 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (80092451)
江藤 亜紀子 国立感染症研究所, 口腔科学部, 研究員 (50291125)
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Keywords | う蝕 / 歯周病 / 肺炎 / 連鎖球菌 / 唾液 |
Research Abstract |
人体の入り口である鼻腔、口腔と咽頭には絶えず全身感染症の病原体が侵入している。研究の初年度である平成年度は、高齢者の歯や義歯にはどのような病原体が定着しているのかを調べた。調査は、滋賀県内で行った。まず、カンジダ属の中ではCandida albicansが歯面から68.6%、咽頭ぬぐい液から57.1%検出された。レンサ球菌ではStreptococcus pneumoniae(肺炎レンサ球菌)や各種の溶連菌が分離された。歯面からHaemophilusinfluenzae(インフルエンザ菌)が検出できる場合もある。その他に.Klebsiella pneumonia(肺炎桿菌)、Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)が分離された。Staphylcoccus aureus(黄色ブドウ球菌)は歯面と咽頭ぬぐい液からそれぞれ14.3%検出された。通常の黄色ブドウ球菌の他に、院内感染菌であるメチシリン耐性色ブドウ球菌(MRSA)も検出できた。 インフルエンザ菌と同じ、ヘモフィルス属のHaemophilus parainfluenzaeは、腎症や急性咽頭炎を引きこすが、歯面から17.1%、咽頭ぬぐい液から8.9%分離できた。上気道炎、肺炎の原因菌であるブランハメ(Branhamera catarrhalis)は画面から14.3%、咽頭ぬぐい液から14.3%分離できた。このように口腔から呼吸器系感染症に関連する病原体が検出されるので、これらの病原菌を除去する全身健康促進因子を探索する必要がある。 そこで、引き続き70歳と80歳の歯科健診、血液検査、運動機能検査を行ったのち、唾液約2000名分を収集し、国立感染症研究所の超低温冷凍庫に保存した。現在、唾液成分と血液成分を解析し、唾液に由来する全身健康促進因子を探索中である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] A.Eto: "Inhibitory Effect of a Self-derived Peptide on Glucosyltransferase of Streptococcus mutans.:possible novel anticaries measures." J.Biol.Chem.(発表予定).
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[Publications] T.Suzuki: "Role of F_1F_0-ATPase in the growth of Streptococcus mutans GS5" J.Appli.Microbiol.(発表予定).
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[Publications] S.Akifusa: "Increase in Bcl-2 level promoted by CD40 ligation correlates with inhibition of B cell poptosis induced byvacuolar type H^+-inhibitor" Exp. Cell Res.238. 82-89 (1998)
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[Publications] 花田信弘: "バイオフィルムとは何か1. 正常な細菌叢と病原性バイオフィルムの形成" ザ・クインテッセンス. 18. 3-6 (1999)
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[Publications] 花田信弘: "バイオフィルム感染症" 日本歯科評論. 674. 200-201 (1998)
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[Publications] 花田信弘: "う蝕リスク判定におけるソブリヌス菌の意義と問題点" 日本歯科評論. 672. 9-11 (1998)
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[Publications] 花田信弘: "う蝕と歯周病-その成因とワクチン開発の動向-" 感染症. 158. 1-8 (1997)
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[Publications] 花田信弘: "母子感染-フッ化物利用推進の感染論的根拠-" 日本歯科評論. 657. 5-7 (1997)