2000 Fiscal Year Annual Research Report
塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を用いた歯周組織再生療法の開発
Project/Area Number |
10557201
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村上 伸也 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (70239490)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島袋 善夫 大阪大学, 歯学部・附属病院, 講師 (50231361)
北村 正博 大阪大学, 歯学部・附属病院, 講師 (10243247)
岡田 宏 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (40038865)
高山 真一 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (00314386)
池澤 一彦 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (80294114)
|
Keywords | 塩基性線維芽細胞増殖因子 / 歯周組織再生 / 組織工学 / サイトカイン療法 / カニクイザル / 歯根膜細胞 / 歯肉由来上皮細胞 / FGFレセプター |
Research Abstract |
塩基性線維芽細胞増殖因子(Basic Fibroblast Growth Factor:bFGF)を、カニクイザルに作製した歯槽骨骨欠損部に局所投与することにより、同部に歯周組織再生が誘導されるか否かを検討した。すなわち、平成10年度に確立した歯周疾患モデルの作製方法に準じて、カニクイザルにクラスII分岐部病変を作製した。ゼラチンゲルを担体とした0.1%および0.4%bFGFを局所投与し、8週後に骨欠損部の標本を作製し、組織学的に対照側と比してbFGFによる歯周組織再生誘導効果を解析した。その結果、カニクイザルを実験動物に用いた場合でもbFGFは効率良く、かつ、骨性癒着や歯根吸収、歯肉上皮の下方増殖を生じることの無い理想的な治癒像で歯周組織を再生させることが明らかとなった。また、bFGFの歯周組織再生誘導効果は、投与するbFGFの濃度に依存して増加することが明らかとなった。次に、歯肉由来上皮細胞に対するbFGFの作用をin vitroの実験系で検証した。その結果、bFGFとウシ胎児血清とを共存させて細胞を刺激した場合、ヒト歯根膜細胞はbFGFのみで細胞を刺激した場合の約8倍にまで細胞増殖反応が上昇したのに対して、歯肉由来上皮細胞では細胞増殖反応の相乗的な増加は認められなかった。さらに、歯根膜細胞はFGFレセプターの1型、2型のmRNAのみ発現しているのに対し、歯肉由来上皮細胞では、1型〜4型すべてのサブタイプのFGFレセプターのmRNA発現が確認された。このような歯根膜細胞と歯肉由来上皮細胞のbFGFに対する反応性の差異が、bFGF投与がin vivoにおいて上皮の下方増殖を引き起こすことなく歯周組織再生を成し得ることに関与しているものと考えられる。
|
Research Products
(1 results)