1998 Fiscal Year Annual Research Report
精密化学的設計に立脚した高性能不斉フッ素化試薬の開発研究
Project/Area Number |
10557206
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
竹内 義雄 富山医科薬科大学, 薬学部, 教授 (20111750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 たみ子 富山医科薬科大学, 薬学部, 助手 (10115181)
柴田 哲男 富山医科薬科大学, 薬学部, 講師 (40293302)
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Keywords | フッ素 / 不斉フッ素化 / フッ素化剤 / 生物活性物質 / アントラサイクリン / 不斉・合成 / ケトン / フルオロケトン |
Research Abstract |
含フッ素有機化合物の中から優れた生物活性物質が見出されて以来,緩和な条件下でのフッ素化反応の開発研究が盛んに行われるようになった.これまでに数多くのフッ素化剤が開発されているが,フッ素化を不斉合成的に遂行し得る試薬はほとんどない.そこで我々は,不斉フッ素化反応剤の開発を念頭に鋭意検討した結果,優れた不斉フッ素化反応剤・CMIT-Fを開発することに成功した.CMIT-Fはサッカリンより5工程で合成することが出来た.すなわち,サッカリンにメチルマグネシウムブロミドおよびシクロヘキシルマグネシウムブロミドを作用させ,ジアルキル体とした後,光学活性メントキシアセチルクロリドを用いてジアステレオマーとし,シリカゲルカラムクロマトグラフィーで各異性体を分離した.それぞれの異性体から,加水分解反応によりキラル補助基を除去し,最後にフッ素化を施して目的のCMIT-Fを効率よく合成することが出来た.合成したCMIT-Fを用いて不斉フッ素化反応を検討した.すなわち,数種のケトン化合物のリチウムエノラート体を-40℃で(R)-CMIT-Fと反応させ,その化学収率および不斉収率を調べたところ,収率39〜79%,18〜88%eeでフルオロケトンが得られることがわかった.次にこの反応で得られた光学活性ケトンを用いてアントラサイクリン系抗生物質アカラビノンの重要中間体の合成を行った.まず,2-エチル-5-メトキシ-1-テトラロンを出発原料に,先と同様の条件下で不斉フッ素化を行ったところ,収率77%,64%eeで2-フルオロ体が得られた.得られたフルオロ体をトリメチルシリルメチルリチウムと反応させた後,そのままフッ化水素で処理するとピーターソン脱離を起こしたオレフィン体が得られた.現在,この化合物を用いてアカラビノンの含フッ素体の合成を検討中である.
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[Publications] Y.Takeuchi et al: "N-Fluoro-3・ethyl-3-methyl-1,1-dioxo-2,3-dihydro-1H-1λ^6-bemo〔e〕1,2-thiazin-4-one,a new and efficient agent for electrophilicfluorination of carbanions" Journal of Fluorine Chemistry. (未定).