1999 Fiscal Year Annual Research Report
固相オレフィン形成による分子内環化反応の開発とコンビナトリアル合成への応用
Project/Area Number |
10557210
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
赤路 健一 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (60142296)
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Keywords | 固相合成 / 分子内環化反応 / ヘック反応 / RGD構造 / フィブリノーゲン結合阻害 |
Research Abstract |
本研究では固相担体上で効率的に進行する炭素-炭素結合形成反応を開発し、コンビナトリアル合成へと展開することを目的とした。固相担体上で行なうのに適した反応のタイプとしては、分子内環化反応を採用した。これは、固相担体に由来する pseudo dilution 効果により、このタイプの分子内反応が高度希釈下での液相反応よりも固相担体上での法がはるかに効率的に進行すると予想できるためである。また、炭素-炭素結合形成反応としては、Heck 反応を利用したオレフェン形成反応を採用した。これらの反応は、厳密な無水条件等の特別な反応条件を必要とせず、固相担体上で行なうのに適した反応と考えられるためである。以上の基本方針に従い、本研究では固相担体上での環状RGD誘導体類の効率的合成を行った。RGD構造 (Arg-Gly-Asp 配列) は活性化された血小板上に現れるレセプターに対する最小認識構造であり、この構造を持った各種化合物をコンビナトリアル合成により調製することにより選択的アンタゴニストの探索が可能である。 1.固相Heck反応のコンビナトリアル合成への展開 まず、固相ライブラリ化反応が実際に進行するかどうか、またその反応のモニターが可能であるかどうかについて検討する目的で比較的簡単な5成分からなるライブラリーの調製を行った。本合成により多成分からなる固相反応条件の最適化ならびに反応モニター方法を確立することができた。ついでこの条件を用いることにより、15成分からなるアルキルライブラリーおよび12成分からなる官能基ライブラリーの調製に成功した。 2.構造と活性の相関研究 合成した環状化合物を用いて、生物活性ならびに3次元立体構造の推定を行った。生物活性はフィブリノーゲン結合阻害アッセイにより評価し、立体構造は各種NMR測定で得られた情報を元にした分子動力学計算により推定した。その結果、今回合成した基本骨格が弱いながらもフィブリノーゲンに特異的な阻害活性を持っていること、活性に最も影響するカルボキシル基とグアニド基の空間相対距離がほぼ一定に保たれていることがわかった。
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[Publications] Kenichi Akagi: "Macrocyclization on Solid Support Using Heck Reaction"Tetrahedron Letter. 38. 5185-5188 (1997)
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[Publications] Kenichi Akagi: "Synthesis of Cyclic RGD Derivatives on Solid Support"Peptide Chemistry. (in press). (1999)