1999 Fiscal Year Annual Research Report
分子包接による電気化学的シグナル変換に基づく新規化学センシングシステムの開発
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10557213
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小田嶋 和徳 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (30152507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 克之 ゼリア新薬工業株式会社, 中央研究所, 主任研究員
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Keywords | 化学センシング / 分子包接錯体 / カリックスアレーン類 / ホモオキサカリックスアレーン類 / 液膜電極 / 膜電位変化 / ドーパミン / H^1-NMR |
Research Abstract |
「分子包接による電気化学的シグナル変換に基づく新規化学センシングシステムの開発」に関する研究の継続的展開並びに新たな発展として,優れたドーパミン/K^+膜電位変化選択性を目指した新規ホストの探索を行った結果,以下のような知見が得られた。 (1)ドーパミン選択性PVC担持液膜の感応素子として,カリックス[6]アレーンO-酢酸エステル誘導体(1)の類縁体であるホモオキサカリックス[3]アレーンの一連の誘導体を検討したところ,O-アルキル誘導体(2a)並びにO-酢酸エステル誘導体(2b)は,1のアドレナリン,ノルアドレナリンと比較しての高いドーパミン選択性を保ったまま,K^+,Na^+イオンと比較しても極めて高いドーパミン選択性を示すことが明らかとなった。さらに,2bは高濃度のNa^+,K^+等を含む血漿組成液の中でもドーパミン選択的な感応素子として利用可能であることが示された。 (2)一方,対応するO-酢酸アミド誘導体(2c)は,カテコールアミン類の中ではドーパミンに対して選択性を示したものの,Na^+はドーパミンよりも強い膜電位応答を与え,生理的条件下でのドーパミン検出には利用できないことが示された。 (3)ホスト1は,膜電位応答において一級アミン塩の非極性部分の形状識別に基づく選択性を示したが,ホスト2a〜cは何れも,それらのゲストに対して疎水性の序列に応じた選択性しか示さず,非極性部分に対する形状識別能は見られなかった。 (4)^1H-NMR実験及びMM2計算に基づくホスト-ゲスト錯体の構造推定から,ホスト2a,bと2cとの選択性の差が,ホモオキサカリックス[3]アレーン内孔の底部の構造の違いにより,前者ではゲストとの相互作用がホストの内孔の浅い部分で起こるのに対して,後者ではNa^+との相互作用が内孔の奥の部分で起こることによることが示された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Odashima: "Dopamine-Selective Response in Membrane Potential by Homooxacalix-[3]arene Triether Host Incorporated in PVC Liquid Membrane"Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters. 9(16). 2375-2378 (1999)
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[Publications] I.Takahashi: "Formation of Diastereomeric Inclusion Complexes between Optically Active Cyclophane TCP44 and Chiral Aromatic Guests in Acidic Water"Heterocycles. 51(6). 1371-1388 (1999)
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[Publications] Y.Yamashita: "Construction of Chiral Quaternary Carbon Centers by Asymmetric Alkylation of Achiral Lithium Enolates by Chiral Tetradentate Ligands"Tetrahedron Letters. 1(2). 2803-2806 (1999)
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[Publications] J.Matsuo: "A Novel Chiral Pentamine Ligand for Enantioselective α-Alkylation of Acyclic Lithium Amide Enolates"Organic Letters. 1(2). 345-347 (1999)
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[Publications] K.Manabe: "Aldol and Allylation Reactions in Water Catalyzed by Lewis Acid-Surfactant-Combined Catalyst/Bronsted Acid Systems"Inorganica Chimica Acta. 296(1). 158-163 (1999)
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[Publications] Y.Yamashita: "Catalytic Asymmetric Protonation of Achiral Lithium Enolates Mediated by a Chiral Tetraamine Ligand with Water as a Protpn Source"Tetrahedron Letters. 41(2). 209-213 (2000)