1998 Fiscal Year Annual Research Report
小腸上皮トランスポーター遺伝子発現系による経口薬物スクリーニングシステムの開発
Project/Area Number |
10557214
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
辻 彰 金沢大学, 薬学部, 教授 (10019664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉井 郁巳 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (10019664)
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Keywords | トランスポーター / オリゴペプチド / H^+輸送担体 / モノカルボン酸 / H^+輸送担体 / モノカルボン酸 / HCO3^-交換輸送担体 / valacyclovir / L-dopa-L-phenylalanine / ペプチド化プロドラッグ |
Research Abstract |
本研究は、医薬品の開発段階において、ヒトの消化管吸収性に優れた化合物を見逃す危険性を最小限に止めるために、小腸上皮細胞透過性が良好な化合物を探索できる「小腸上皮トランスポーター遺伝子発現細胞を用いた薬物吸収性スクリーニングシステムの確立」を目的としている。 すでに研究代表者と研究分担者玉井は一貫して薬物の担体介在消化管吸収の研究を展開し、オリゴペプチド/H^+共輸送系輸送担体、またはモノカルボン酸/H^+輸送担体を介する薬物消化管吸収に多くの成果を挙げてきた。本研究開始10年度では、アミノ酸輸送系により吸収されるが脱炭酸酵素の作用によりバイオアベラビリティーが著しく劣るL-dopaをphenylalanineと化学修飾した新規プロドラッグ及びacyclovirのvalineとのエステル型プロドラッグvalacyclovirがヒトのオリゴペプチド/H^+トランスポーターPepT1に認識輸送されることを実証した。このように、非天然のアミノ酸構造を有する薬物をペプチド化してバイオアベラビリティーを向上させる目的で合成された候補薬物のトランスポーター介在輸送を予測するシステムとして有用性が確認されたので、本研究目標であるヒト小腸上皮細胞輸送系を導入した薬物消化管吸収評価系の実用化の可能性は高い。また小腸上皮細胞刷子縁膜に発現するアニオン交換輸送体AE2が細胞内クロライドによって安息香酸、ニコチン酸、プロピオン酸、酪酸、バルプロ酸の細胞内輸送を促進し、その輸送が酸性環境で増加するというpH依存性を示すことが分かった。以上の結果より、PepT1、MCT1、AE2遺伝子発現細胞が、これらのトランスポーターを介して吸収される薬物のスクリーニング系として有用性が高いことが分かった。次年度には、薬物輸送・分泌に関与するトランスポーター群のクローニングと機能解析を展開させる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Yabuuchi: "Possible role of anion exchanger AE2 as the intestinal monocarboxylic acid/anion antiporter." Pharm.Res.15・3. 411-416 (1998)
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[Publications] P.V.Balimanen: "Direct evidence for peptide transporter(PepT1)-mediated uptake of a nonpeptide prodrug,valacyclovir." Biochem.Biophys.Res.Commun.250・2. 246-251 (1998)
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[Publications] I.Tamai: "Improvement of L-dopa absorption by dipeptidyl derivation,utilizing peptide transporter PepT1." J.Pharm Sci.87・12. 1542-1546 (1998)