1999 Fiscal Year Annual Research Report
うっ血性心不全治療薬としてのACE・NEP同時阻害薬の開発研究
Project/Area Number |
10557226
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
吉田 真 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (90201011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
草場 美津江 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (50175311)
比佐 博彰 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (60192712)
佐藤 進 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (80004604)
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Keywords | 変換酵素 / ニュートラルエンドペプチダーゼ / BMS-182657 / ANP / うっ血性心不全 |
Research Abstract |
本研究課題は、angiotensin-converting enzyme(ACE)とneutral endopeptidase(NEP)の活性部位構造の類似性に着目し、単独で両酵素に対する阻害作用を持つDual Inhibitorsのうっ血性心不全治療薬としての開発を目的としている。ヒト及び実験動物の心不全で、ACE阻害薬による長期治療が心機能を改善し、死亡率を低下させることが報告されており、NEP阻害作用により分解を抑制される心房性利尿ペプチドの作用と相まって心不全に対する治療効果が期待される。本研究では心筋梗塞後心不全ラットを用いて代表的なDual InhibitorであるBMS-182657(BMS)の長期間投与による影響を検討した。 ラットの左冠状動脈を結紮することにより心筋梗塞を作製した。左冠状動脈を結紮したラットのうち48時間以内の生存率は80%であったが、1週間以内の生存率は20%に低下し、慢性投与に供する動物数を確保することが難しかった。狭窄部位の位置を数ミリ単位でずらす等の検討を行なったが、1週間以内の生存率は50%に上昇した程度であった。また、摘出した心臓を切断し、心筋切片を染色して心筋梗塞領域の測定を行なった結果、作製された心筋梗塞領域は術後8週目で左心室の45%であり、同時に全身血圧、左心室収縮期圧ならびに左心室LV dP/dtの低下、および左心室拡張末期圧および末梢血管抵抗の上昇が観察された。 BMS 3mg/kg/dayを2週間連続投与した群においても、心筋切片染色による心筋梗塞領域は、薬物非投与群と同程度であった。しかし、心不全により上昇した左心室拡張末期圧および末梢血管抵抗はBMSによる改善が観察された。心不全モデル動物に対してその心機能の改善効果が認められたことは、うっ血性心不全治療薬としての有用性をを明らかにしたものである。
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