2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10557237
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
吉川 孝文 北里大学, 薬学部, 教授 (80050540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣谷 正男 北里大学, 薬学部, 助手 (50050547)
川口 基一郎 北里大学, 薬学部, 講師 (10146334)
浅田 善久 北里大学, 薬学部, 助教授 (90118779)
林 達男 ライオン(株), 研究開発本部, 主任研究員
渡辺 高志 北里大学, 薬学部, 助手 (70210911)
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Keywords | ネパール・ヒマラヤ / マオウ / Ephedra属植物 / 人参 / Panax属植物 / 柴胡 / Bpleurum属植物 / クローン植物 |
Research Abstract |
昨年度までにネパール・ヒマラヤ地域の薬用植物の中から、漢方処方に繁用されている麻黄の基原植物であるマオウEphedra属のE.gerardianaを用いて、組織培養法による保存育成を行い、多数のクローン苗を得た。クローン苗は神奈川県相模原市にある当大学薬用植物園の圃場で活発に生育している。その主要成分の分析結果から、総アルカロイドは生薬として使用されている原植物とほぼ同じであった。ephedrine含量においてはクローンの間で差が見られた。生薬と同じパターンで含量の高い優良クローンについては現在使用され、将来は輸出禁止の可能性もある中国産マオウの代替資源として利用できる可能性が期待される結果が得られた。 今年度は、重要生薬の人参の基原植物であるPanax属植物と柴胡の基原植物であるBpleurum属植物の近縁植物について前年度と同様の組織培養による育成試験を行った。特に、日本産同属植物とネパール産近縁種について形態学的、遺伝子学的および化学的な検討を行い遺伝子資源として利用可能かどうかについて検討した。 ネパール・ヒマラヤに自生するPanax属植物はその形態学的な特徴から、朝鮮人参・オタネニンジンP.ginsengよりも、日本産Panax属植物のチクセツニンジンP.japonicusに近いP,pseudo-ginsengとして分類されている。今回ネパール産P.p-gを5地区から収集し、日本の8地区から集めたP.p-gあるいはP.japonicusと遺伝子的な類縁性と化学的な類縁性について検討した。その結果、遺伝子的にも化学的にもネパール産と日本産はかなり離れていることが明らかとなった。ところが、ネパール産のPanax属植物の多くが成分的には朝鮮人参と良く類似しており、生薬人参の代替品種となる可能性が示されるという非常に興味ある結果が得られた。一方、Bpleurum属植物については、ネパール・ヒマラヤ地域で16種類を採集し、その主要成分であるsaikosaponin a,c,dについて定量した結果、植物間でかなりの変動が見られた。この変動が環境によるものか、あるいは本来有する遺伝子レベルでの差によるかについて、特定遺伝子(rRNA)での検討を行った結果、成分種の変動が遺伝子変異と相関している結果が得られた。生薬柴胡の代替資源となりうるかについては、今後さらに検討する必要がある。
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