1998 Fiscal Year Annual Research Report
胃腸障害性の少ない非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)の開発-COX-2選択的および一酸化窒素遊離型NSAIDを中心として-
Project/Area Number |
10557246
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
竹内 孝治 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (00150798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 伸一 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (90281500)
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Keywords | 非ステロイド系抗炎症薬 / NO遊離型アスピリン / 胃粘膜傷害性 / 損傷治癒 / 粘膜血流 |
Research Abstract |
非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)の一つであるアスピリンに一酸化窒素(NO)遊離基であるニトロベンジル基を導入した新規NO遊離型アスピリンの胃粘膜傷害性について、非選択的COX阻害薬であるインドメタシンおよびアスピリン、並びにCOX-2選択的阻害薬であるNS398と比較検討し、以下の成績を得た。 1. インドメタシンおよびアスピリンは経口投与により、単独で胃粘膜損傷を誘起したが、NO-アスピリンあるいはNS398の投与では胃粘膜上に損傷発生は認められなかった。 2. 低体温ストレスにより惹起される胃損傷はインドメタシンおよびアスピリンにより著明に増悪したが、NO-アスピリンあるいはNS398ではストレス胃損傷の発生は影響を受けなかった。 3. 焼灼潰瘍の治癒はインドメタシンおよびアスピリンの連続投与により著しく遅延したが、NO-アスピリンでは影響を受けなかった。COX-2選択的阻害薬であるNS398も胃潰瘍の治癒を有意に遅延させた。 4. アスピリンは胃内適用によって粘膜電位差(PD)を低下させ、特に酸の存在下では重篤な出血性損傷を誘起したが、NO-アスピリンの胃内適用はP.Dに影響を与えず、酸の存在下においても傷害発生は観察されなかった。また、NO-アスピリンの胃内適用では著明な粘膜血流の増大が認められた。 5. NO-アスピリンはインドメタシンやアスピリンと同様に、正常胃粘膜および潰瘍胃のPGE_2含量を有意に低下させたが、NS398は潰瘍胃粘膜のPGE_2含量に対してのみ有意な低下作用を示した。なお、潰瘍胃におけるPGE_2含量は正常胃の値と比較して有意な高値を示した。 6. アスピリンの経口あるいは皮下投与後、ほぼ1時間で血中サリシレートは最大に達し、以後4時間後まで漸時減少した。NO-アスピリンの場合も、30分遅れが観られたものの、同程度の最大値を有する血中サリシレートレベルの時間経過が観察された。 7. 今回使用したNSAIDはすべて、カラゲニン誘発ラット足浮腫の程度を有意に抑制した。
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[Publications] Hirata T.,et al.: "Effects of selective cyclooxygenase-2 inhibitors on acid-induced alkaline secrerory and mucosal ulcerogenic responses in the rat duodenum." Life Sciences. 61. 1603-1611 (1997)
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[Publications] Hirata T.et al.: "Cyclooxygenaes isozymes in acute mucosal ulcerogenic and functional responses following barrier disruption in rat atomachs." British Journal of Pharmacology. 122. 447-454 (1997)
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[Publications] Takeuchi K.et al.: "Role of nitric oxide in pathogenesis of aspirin-induced gastric mucosal damage in rats." Digestion. 59. 298-307 (1998)
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[Publications] Takeuchi K.et al.: "Effect of nitric oxide-releasing aspirin derivative on gastric functional and ulcerogenic responses in rats : Comparison with plain aspirin." Jourmal of Pharmacology and Experimental Therapeutics. 286. 115-121 (1998)
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[Publications] Ukawa H.et al.: "Effects of cyclooxygenase-2 selective and nitric oxide-releasing nonsteroidal antiinflammatory drugs on mucosal ulcerogenic and healing responses of the stomach." Digestive Diseases and Sciences. 43. 2003-2011 (1998)
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[Publications] Takeuchi K.et al.: "Effects of COX-2 selective and NO-releasing NSAIDs on gastric ulcerogenic responses." Journal of Pharmacology and Physiology. 49. 501-513 (1998)
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[Publications] 竹内 孝治(共著): "別冊・医学の歩み 消化器疾患-state of arts (Ver.2) I.胃・腸/一酸化窒素と胃腸粘膜傷害-粘膜保護・修復促進作用と傷害誘起作用" 医歯薬出版(玉熊正悦、望月英隆 編), 533 (1998)
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[Publications] 鵜川 英樹(共著): "実験潰瘍(ULCER RESEARCH) Vol.25 No.2/胃損傷の発生および治癒に対するNO-遊離型アスピリンの影響" 日本実験潰瘍学会事務局, 237 (1998)