1999 Fiscal Year Annual Research Report
パーオキシニトライトスカベンジャーの検索と病態発現機序解析および病態治療への応用
Project/Area Number |
10557247
|
Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
大熊 誠太郎 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30152086)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
霜里 和朗 川崎医科大学, 医学部, 助手 (60154316)
桂 昌司 川崎医科大学, 医学部, 助手 (80204452)
|
Keywords | パーオキシニトライト / Ca^<2+>流入 / cyclicGMP(cGMP) / 電位依存性Ca^<2+>チャネル / テトロドトキシン |
Research Abstract |
本研究では、パーオキシニトライトが神経細胞障害をいかなる機序により誘発するのか、またこの機序の解明のためにスーパーオキシニトライトに選択性の高いスカベンジャーを開発し、上述の機序解明と治療応用を試みるために行われた。本年度は、神経細胞への過剰なCa^<2+>流入が神経細胞傷害を誘発すること、およびパーオキシニトライトが神経細胞傷害をおこすことがすでに報告されていることなどから、パーオキシニトライトがいかなる機序により神経細胞へのCa^<2+>パーオキシニトライトは用量依存性かつ曝露時間依存性のCa^<2+>流入増加を誘発し、この流入増加はパーオキシニトライト消去作用を有するMnTBAP流入により消失した。また、パーオキシニトライトはcGMP生成促進作用を示すが、cGMP生成阻害を行った場合においてもパーオキシニトライト誘発性Ca^<2+>流入には変化が認められなかった。さらにパーオキシニトライト誘発性Ca^<2+>流入はテトロドトキシンにより阻害されたことから、神経細胞膜脱分極を誘発することによりCa^<2+>流入をもとらすことが判明した。パーオキシニトライト誘発性Ca^<2+>流入はP/QおよびL型電位依存性Ca^<2+>チャネル(VDCC)阻害薬により阻害されたが、N型VDCC阻害薬は何ら影響を与えなかった。一方、30mMKCl誘発性Ca^<2+>流入はパーオキシニトライト共存下では有意に抑制され、その抑制の程度はN型VDCC阻害薬による30mMKCl誘発性Ca^<2+>流入の阻害の程度と同程度であり、かつ30mMKClおよびパーオキシニトライト共存下においてみられたCa^<2+>流入はN型VDCC阻害薬により何ら影響を受けなかった。これらの結果から、パーオキシニトライトは神経細胞膜の脱分極を誘発し、その結果P/QおよびL型VDCCを開口させて神経細胞へのCa^<2+>流入を誘発させるとともに、N型VDCCを介するCa^<2+>流入を抑制することが明らかとなった。
|
-
[Publications] Ohkuma,S.,Katsura,M.et al.: "Peroxynitrite inhibits Ca2+ influx through N-type voltage-dependent calcium channels in mouse cerebral cortical neurons"J.Neurochem.. (In press).
-
[Publications] Watanabe,S.et al.: "Effects of methothorexate and cyclophosphamide on polyamine levels in various tissues of rats"J.Drug Target..
-
[Publications] 大熊 誠太郎、桂 昌司: "NOの作用発現におけるペルオシニトライトの意義"血管と内皮. 9(増刊). 31-38 (1999)
-
[Publications] 大熊 誠太郎、桂 昌司: "GABA_A受容体・ベンゾジアゼピン受容体・クロライドチャネル複合体と関連する疾病"Pharm D. 1. 43-48 (1999)
-
[Publications] 大熊 誠太郎、桂 昌司: "アルコールと薬物の相互作用"臨床科学. 35. 81-87 (1999)
-
[Publications] 大熊 誠太郎、桂 昌司: "アルコール依存症におけるdiazepam binding inhibitor(DBI)の病態生理学的役割"脳と精神の医学. 10. 241-248 (1999)
-
[Publications] 大熊 誠太郎、桂 昌司: "医学生のための薬理学"南山堂. 18 (1999)