1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10557248
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
寺岡 弘文 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30019137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 興太郎 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (40000971)
斉藤 佳子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教務職員 (50178969)
高瀬 浩造 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (90211333)
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Keywords | フローサイトメトリー / DNA切断端 / 重症複合型免疫不全症 / 細胞周期 / DNA2重鎖切断修復 / V(D)J組換え / アポトーシス |
Research Abstract |
DNA依存性プロテインキナーゼ(DNA-PK)を欠くヒトグリオーマ細胞M059Jと正常なM059K細胞を用いて,DNA2重鎖切断を誘導する抗癌剤ネオカルチノスタチン(NCS)の影響を調べた.通常の細胞増殖では,DNA-PKを欠くM059J細胞がM059K細胞に比べて倍加時間が短く,DNA-PKは増殖に対しては負に作用するという我々の主張を支持する結果が得られた.DNA2重鎖切断を誘導するネオカルチノスタチン(NCA)に対しても2重鎖切断修復に必要なDNA-PKを欠くM059J細胞の方が高感受性を示し,^3Hなどのβ線を含む電離放射線照射と類似した結果が得られた.この時,NCS50ng/ml添加後,フローサイトメトリーによってDNAヒストグラムパターンの経時変化をみたところ,両細胞で大きな違いが観察された.M059J細胞では添加後30分でS期の細胞が増加し,この傾向は48時間まで続いた.他方,M059K細胞ではDNAヒストグラムパターンに大きな変化は認められなかった.さらに,FITC-dUTPを用いたTUNEL法によってDNA切断端を蛍光標識後,断端数をフローサイトメトリーにて半定量化した.M059J細胞では細胞周期全般で切断端数の増加傾向が認められたが,M059K細胞では特にG1期の細胞でNCS添加後2時間を頂点にして切断端数は減少していった.また,DNA修復に関与するp53とATMの発現をタンパク質レベルで見たところ,M059K細胞では薬剤処理によってp53の誘導が認められたが,M059J細胞では構成的な発現が認められ,p53発現制御異常が示唆された.P53 N末端15番目のセリンリン酸化酵素であるATMに関しては両細胞共に発現が認められないため,現在詳細に追求中である.このように,DNA切断端をフローサイトメトリーにてほぼ定量化することが可能となった.この結果は,臨床面においても,放射線や抗癌剤治療の効果や副作用の予測に役立つものと考えられる.
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[Publications] Morio, T. et al.: "Ku in the cytoplasm associates with CD40 in human B cells and translocates into the nucleus following incubation with IL-4 and ・・・"Immunity. 11. 339-348 (1999)
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[Publications] Yanokura, M. et al.: "Cell death and cell-cycle arrest Induced by incorporation of [H^3] thymidine into human haemopoietic cell lines"Int.J.Rad.Biol.. 76. 295-303 (2000)
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[Publications] 寺岡弘文,渡邊文晶: "DNA依存性プロテインキナーゼ「総説」"生化学. 72. 26-37 (2000)
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[Publications] 寺岡 弘文: "Bio Science 新用語ライブラリー・細胞周期"田矢洋一,野島 博,花岡文雄/編,羊土社. 6 (1999)