1998 Fiscal Year Annual Research Report
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10558008
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Research Institution | National Research Institute for Cultural Properties, Tokyo |
Principal Investigator |
増田 勝彦 東京国立文化財研究所, 修復技術部, 部長 (40099924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 睦 国文学研究資料館, 史料館, 助手 (00260000)
田良島 哲 文化庁, 文化財保護部美術工芸課, 調査官
川野辺 渉 東京国立文化財研究所, 修復技術部第2修復技術研究室, 室長 (00169749)
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Keywords | 屏風 / 下張り / 文書 / 剥離 / 温度 / 水蒸気 / 和紙 |
Research Abstract |
粉糊の老化については、60℃と70℃では、95%以上の糊化度であり、殆ど老化が起こらなかった。50℃から0℃付近に至るまで、老化の進行が進み、1時間の0℃環境温度暴露によって、約25%が老化することが判明した。低温インキュベータによって、0℃〜10℃までの間で、老化進行を測定すると、予想したような変化はなく、低温管理が容易である事が予想された。 ただし、糊の含水率を少なくして行くと、老化速度が急速に低下し、実際の15%以下では、老化進行が認められなかった。 以上は、糊をガラス容器中で実験した結果であるため、実用に供するために、和紙に塗布する通常の濃度の澱粉糊一度乾燥させ、再度湿潤状態に放置したところ、含水量は22%しか上昇せず、また老化は殆ど進行しなかった。冷水に浸漬することでやっと、老化進行を期待できる含水率に達することが判明した。 そこで、加熱による剥離の方向で、再検討することとし、刷毛で水を塗布して、低温アイロンで加熱直後に、剥離を試みたところ、剥離を順調に行うことが出来た。 塗布水分量を少なくするために、蒸気過熱による水分と熱を同時に与える条件での検討を始め、その機器を注文製作した。 来年度は、蒸気法による文書剥離実験を進める。
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