1999 Fiscal Year Annual Research Report
不規則幾何形状を持つ溶液臨界系に対する多重相反境界要素解析手法の確立
Project/Area Number |
10558074
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
板垣 正文 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30281786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎戸 武揚 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10001992)
成田 正邦 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00001313)
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Keywords | 再処理工程 / 地震動 / 溶液状核物質 / 臨界安全 / 規則幾何形状 / 多重相反境界要素法 / 境界要素データ / プリプロセッサ |
Research Abstract |
本研究の目的は、地震動等に起因して遭遇する溶液状核物質の複雑幾何形状をモデル化し、多重相反境界要素法に基づく臨界安全解析システムを完成させることにある。昨年は東海村の(株)JCOで溶液体系の臨界事故が発生し、溶液状核物質の臨界解析を狙いとした本研究の意義はますます重要性を帯びている。本年度の実績は以下の通りである。 (1)再処理工程で想定される典型的な不規則幾何形状のひとつである液面傾斜の場合について、前年度に英国CM-BEASY社より導入した境界要素データ作成プリプロセッサBEASY-IMSを活用して、種々のモデルの作成と解析結果の蓄積を行った。ここで得られた成果の一部については、昨年8月に英国オクスフォードで開催された境界要素法国際会議BEM21で発表した。 (2)大型の動揺実験装置を有する職業能力開発大学よりスロッシング実験データの提供を受け、このデータに基づく境界要素解析を準備中である。 (3)中性子吸収の大きな領域を別な領域が取り囲むような体系では、強吸収領域の中性子束分布は下に凸の特異な形状となり、この場合に対応する零次および高次のエネルギー2群基本解はこれまで調べられていなかった。本年度の大きな成果として、それらは裸の体系に対する基本解(一般に複素関数)においてiB=kの変換を施すことによって容易に得られ、新しい基本解は実数関数となるることを見出した。 (4)上記の変換機能を開発中の多重相反境界要素プログラムに移植し、強収領域を含む簡単な2領域体系に対してテスト計算を行い、良好な結果を得た。以上の成果について、本年中に内外の適当な会議にて研究発表を行うべく準備中である。 最終年度である来年度は、不規則幾何形状データの蓄積に努めるとともに、これまでの研究を集約した臨界安全解析システムの完成を目指す予定である。
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