2000 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴遷移放射法による小型電子加速器を用いた高輝度X線マイクロビームの実現
Project/Area Number |
10558079
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
今西 信嗣 京都大学, 工学研究科, 教授 (10027138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 誠 京都大学, 工学研究科, 助手 (60263117)
伊藤 秋男 京都大学, 工学研究科, 教授 (90243055)
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Keywords | 共鳴遷移放射 / 相対論的電子 / 高輝度X線源 / エネルギースペクトル / 放出角度分布 / 単色X線 / マイクロビーム / 偏光 |
Research Abstract |
共鳴遷移放射を用いて100MeV程度の小型加速器により高品位高輝度のX線発生源および偏光光源の実現をめざしてシミュレーションならびに実験研究を行っており今年度は以下の成果が得られた。 1.相対論的電子ビームが多層薄膜中を通過すると、共鳴遷移放射がコーン状に放射する。共鳴遷移放射全体としては偏光していないが、放射角度ごとの環状断面の位置に応じて偏光したX線が得られる。この性質を利用し、細いスリットを用いて偏光度90%以上の直線偏光X線ビームを取り出すことに世界で初めて成功した。得られた結果は理論シミュレーション計算と比較し、共鳴遷移放射X線の偏光の確証および偏光度の導出を行った。 2.相対論的電子ビームが単結晶薄膜に入射すると、単結晶の表裏両面から遷移放射が発生し、干渉が生じる。ラウエ散乱を利用して単結晶入射面と出射面から放出する遷移放射X線の非干渉性成分のみを取り出すアイデアのもとに、シミュレーション計算を行ない、数eVという非常にエネルギー幅の狭い単色X線(ナローピーク)が生成しうることをはじめて明らかにした。 得られた高偏光度X線ビームの取り出しならびにナローピークのシミュレーション結果については、オリジナル論文としてまとめ公表した。これまでに得られた成果により、全国的に分散する小型の電子加速器を有効に活用すれば、軟X線からX線領域の単色高輝度のマイクロビームおよび偏光ビームを容易に発生しうることを示した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 今西信嗣: "Dynamical Diffraction Effects in the Transition Radiation of a Relativistic Electron Crossing a Thin Crystal"Nuclear Instruments and Methods B. 173. 227-237 (2001)
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[Publications] 矢島千秋: "Generation of Linearly Polarized Transition Radiation X-Ray Beam"Nuclear Instruments and Methods A. 460. 227-232 (2001)
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[Publications] 矢島千秋: "Generation of Linearly Polarized Resonant Transition Radiation X-ray Beam"Proceedings of the First Symposium on Advanced Photon Research, (Advanced Photon Research Center, JAERI). 329-331 (2000)
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[Publications] 矢島千秋: "Narrow Peak Transition Radiation Produced by Dynamical Diffraction Effects in a Thin Crystal"Annual report of Quantum Science and Engineering Center, QSEC, Kyoto University. 12-14 (2000)
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[Publications] 矢島千秋: "Generation of Coherent Transition Radiation"Proc.of Inter.Symp.on Environment-Conscious Innovative Materials Processing with Advanced Energy Source. 249-258 (1999)
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[Publications] 矢島千秋: "結晶性ターゲットからのナローピーク遷移放射の発生"加速器研究施設研究会「高輝度電子ビームによる放射光生成の可能性」発表報告集. 277-284 (1999)