1998 Fiscal Year Annual Research Report
小型気球搭載用超小型成層圏大気サンプリングシステムの開発
Project/Area Number |
10558086
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
山内 恭 国立極地研究所, 南極環境モニタリングセンター, 教授 (00141995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 標 日酸商事(株), 企画部ATプロジェクト技術研究担当, 部長
平沢 尚彦 国立極地研究所, 情報科学技術センター, 助手 (10270422)
森本 真司 国立極地研究所, 北極圏環境研究センター, 助手 (30270424)
和田 誠 国立極地研究所, 研究系, 助教授 (40132716)
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Keywords | クライオポンプ / 断熱膨張 / 温室効果気体 |
Research Abstract |
成層圏における温室効果気体の分布と変動を明らかにするために、これまでは液体ヘリウムを用いた大型のクライオサンプラーを大気球によって成層圏高度まで持ち上げ、成層圏大気を液体ヘリウムで固化採取する方法が用いられてきた。しかし、この方法では、実験が大がかりになるために観測頻度や場所等に大きな制約があった。本研究では、高圧ネオンガスの断熱膨張時に発生する寒冷を利用する小型軽量の成層圏大気クライオサンプラーの開発を目的とする。小型軽量のクライオサンプラーが実現することによって小型気球での放球が可能になることから、これまでは困難であった多頻度の観測及び極域での観測が容易になると考えられる。 我々は、前年度までに高圧ネオンの断熱膨張によって寒冷を発生させる小型クーラーの開発を行い、液体窒素温度に予冷した高圧ネオンから液体ネオンを製造することに成功した。また、小型クーラーを組み込んだ試料採取容器の試作器を製作し、低圧窒素(5〜120hPa)の採取実験を行って低圧窒素を固化採取できることを確認した。更に低圧空気を用いて採取実験を行い、固化採取した空気試料の組成が変化しないことを確認した。 本年度は、低圧大気試料の採取効率を向上させるために、新たに小型クーラーの先端に取り付けるクライオフィン部を設計し、さらに低圧空気の採取時に問題となった液体酸素の再蒸発を防止する構造について検討と設計を行った。また、このようなクライオフィンと再蒸発防止機構を組み込んだ試料採取容器試作機の設計・開発を行った。今後は、本年度に開発した試作機を用いて低圧空気採取実験を開始し、低圧大気試料の採取速度や採取量を求める。さらに、改良点を抽出して、実用的な小型クライオサンプラーの実現を目指す。
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