1998 Fiscal Year Annual Research Report
癌治療を目指したCDK阻害伝白質p27Kip1の分解抑制の研究
Project/Area Number |
10558105
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
北川 雅敏 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (50294971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 愛山 千葉県立東金病院, 院長
中山 敬一 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (80291508)
畠山 鎮次 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (70294973)
中山 啓子 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (60294972)
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Keywords | p27^<Kip1> / サイクリン依存性キナーゼ阻害分子 / ユビキチン-プロテアソーム / ユビキチン化 / 蛋白分解 / プロセッシング |
Research Abstract |
CDK阻害蛋白質p27^<Kipl>は、CDK-Cyclin複合体に結合してその活性を阻害することで細胞周期を抑制的に制御してい名重要な因子である。細胞周期がG1からS期に進行するにはp27^<Kipl>が分解することが必要である。一方で、ヒトの大腸癌、乳癌、肺癌、胃癌等において、予後(悪性度)とp27Kiplの分解活性が正の相関を示すことが報告されている。ところがp27^<Kipl>の分解のメカニズムは不明の点が多く、その解明は急務である。我々は以下に示すようにユビキチン-プロテアゾーム系で分解されるだけでなく、ユビキチン非依存的に限定分解を受け失活すること見い出した。 1. p27^<Kipl>のインビトロユビキチン化の系を構築し、p27^<Kipl>がユビキチン化されることを証明した。またこのユビキチン化活性は細胞周期依存性にG1-S移行期にもっとも高いことがわかった。 2. p27^<Kipl>のアミノ酸残基134番、153番、165番目のリジンをアルギニンに置換したところユビキチン化が抑制された。 3. 細胞内およびインビトロにおいてp27^<Kipl>が22kDaに限定分解を受けることを見い出した。これはp27^<Kipl>がユビキチン化以外にプロセシングを受けていることを示唆する。この反応はATP依存的であり、lactacystin、chymostatin、PMSFで抑制されたが、antipain、pepstatin、leupeptin、E64では影響を受けなかった。 4. プロセシングされた22kDa蛋白(p27^<Kipl>Δ22k)は、p27^<Kipl>のN末端より35〜40アミノ酸が切断されたものであると予想され,この蛋白はCDK阻害活性が野生型に比べ1/100に低下していた。 5. p27^<Kipl>Δ22kのプロセシング反応はS期に強くみられた。 今回の研究の結果,p27^<Kipl>の分解にはユビキチン化だけでなく他のプロセシング機構も関与していることが示された。ユビキチン化やプロセシングに直接関与している酵素の同定が今後の課題である。このプロセシング酵素が同定され、阻害剤が見つかれば新しい癌治療薬になるであろう。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] S. Hatakeyama et al.: "Ubiquitin-dependent degradation of IκBα mediated by a ubiquitin ligase Skp1/Cullin/F-box protein FWD1" Proc. Natl. Acad. Sci. USA. (in press).
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[Publications] T. Tanaka et al.: "Activation of Cyclin dependent kinase 2 (CDk2) in growth-stimulated rat astrocytes." J. Biol. Chem.273. 26772-26776 (1998)
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[Publications] T. Terano et al.: "Eicosapentaenoic acid and docosahexaenoic acid inhibit vascular smooth muscle cell proliferation by inhibiting phosphorylation of Cdk2-cyclin E" Biochem. Biophys. Res. Commun. 252. 502-506 (1998)
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[Publications] H. Kawana et al.: "Role of p27Kip1 and cyclin-dependent kinase 2 in proliferation of non-small cell lung cancer" Am. J. Pathol.153. 505-513 (1998)
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[Publications] M. Shirane et al.: "Down-regulation of p27^<Kip1> by two mechanizms, ubiquitin-mediated degradation and site-specific cleavage" J. Biol. Chem.(in press).
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[Publications] M. Kitagawa et al.: "An F-box protein FWD1 mediates ubiquitin-dependent ploteolysis of β-catenin." EMBOJ. (in press).