1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10558106
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊島 近 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (70172210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 清一 クォーク, 代表取締役(研究職)
小笠原 光雄 日立製作所, 計測器事業部・科学機器システム本部・第一設計部, 技師
中迫 雅由 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 講師 (30227764)
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Keywords | 電子線回折 / 結晶解析 / 構造解析 / クライオ電子顕微鏡 / 低温試料ホルダー / 蛋白質結晶 / データ収集 |
Research Abstract |
超薄三次元結晶の電子線による解析技術の開発が本研究の目標であるが、具体的には、(1)電子線回折データ収集のためのハードウェア(特に回転カメラ)の開発、(2)電子線回折パターン(特に回転カメラを用いて得られた回転写真)の解析ソフトウェアの開発、(3)試料を大きく傾斜し得る低温試料ホルダーの開発が本年度の目標であった。(1)に関しては、これ迄の電子顕微鏡が電子線回折に最適化されてはいないこと、特に試料の傾斜(回転)機構がごく初歩的であり精度も悪いことの2点を改良するため日立製作所と協力し、高精度回転カメラの開発と本体の改造を行った。特に、傾斜(回転)角の読み取りに関してはこれ迄モーターの回転を読んでいたものを、試料ホルダーの回転ドラムを直読するようにしたため、0.001゚以下の読み取り精度が実現できた。また、電子線回折の最低電子線量化を実現するためのソフトウエアの開発・実装を行った。まだ駆動ソフトウェア等改良すべき点はあるが、近日中に完全なものとなろう。これによって電子顕微鏡は電子線回折計としての測定器の機能を備えたと言える。(2)に関しては、新しいアルゴリズムに基づくソフトウェアの開発が必要であり時間がかかっているが、三次元逆空間を回転写真から再構成できるようになり、各反射点の積分強度も求められるようになった。今後は複数の回折パターン間のscalingの手法を開発し、X線結晶解析と同等の解析を可能にする予定である。(3)に関しては、一方向に80゚迄傾斜できるクライオホルダーが一応完成した。次年度は以上の三つの開発項目を有機的に結合し、カルシウムATPaseの電子線結晶解析を行う予定である。予備的結果は国際電子顕微鏡学会で発表し生物系のみならず材料系の研究者からも非常に高い評価を得た。
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[Publications] P.Zhang: "Structure of the calcium pump from sarcoplasmic reticulum at 8Å resolution" Nature. 392. 835-839 (1998)
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[Publications] H.ogawa: "Structure of the Ca^<2+> pump of sarcoplasmic reticulum: A view along the lipid bilayer at 9-Å resolution" Biophys.J.75. 41-52 (1998)
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[Publications] K.Mayanagi: "Three-dimensional electron microscopy of the photosystem II core complex." J.Struct.Biol.123. 211-224 (1998)
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[Publications] 米倉功治: "P型イオンポンプの立体構造" 細胞工学. 17. 1270-1271 (1998)