1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10558130
|
Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
松浦 弘幸 政策研究大学院大学, 政策研究プロジェクトセンター, 助教授 (30262116)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 正博 産業医科大学, 医学部, 助教授 (70141744)
井街 宏 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10010076)
藤正 巌 政策研究大学院大学, 大学院・政策研究科, 教授 (30010028)
|
Keywords | 確率共鳴機械 / ナノマシンシステム / 分子機械 / 散逸系 / 熱ノイズ / 量子ゆらぎ / トンネル効果 / 筋肉組織 |
Research Abstract |
本年度は,昨年度提案した確率共鳴機械としての筋肉組織(アクチン・ミオシン系)モデルの精密化と,一般のナノマシンシステムへの拡張を試みた. 特に,熱ノイズ利用型確率共鳴機械としてのアクチン・ミオシン系のプロトタイプモデルとしては,大筋が完成したといえる.確率共鳴型分子機械としての動作機構は,以下のようである. 1)ATPの加水分解により熱エネルギーが放出される.この放出された熱は媒質分子(水分子)の熱運動を活性化させる.2)活性化した水分子は,バネ(ミオシンロッド)の先端に固定されているミオシン頭部に不規則な振動を誘起する.3)不規則な振動の中から,頭部の質量とバネ定数により固有振動が選び出される.(確率共鳴現象の発生)4)振動しているミオシン頭部は,アクチン繊維を傾いたロッドにより斜めに蹴ることにより前進する. この過程においては,熱源はATPと,散逸系における遠方の低熱源,水の温度および,アクチン繊維をZ膜に固定するためのバイアスが存在している.これらの要素の存在は,熱力学第二法則の成立を保障するものである.さらに,現在,熱ノイズと量子ゆらぎを組み合わせたエネルギー変換システムを設計中であり,この試作実験研究システムは,熱ノイズによって生じた電流を,非対称な電場によって生じたトンネル効果の差を利用して整流作用を行うものである.
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] Matsuura H.,Nakano M.: "Stochastic Dynamics of molecular machine nanomachine which is based on Nyquist Theory"Proc. of 1999 International Symp. on Micromechatronics and Human Science (MHS'99, IEEE). 0-7803-5790-6. 51-58 (1999)
-
[Publications] Matsuura H.,Nakano M.: "Thermal noise and stochastic dynamics of nano system"The 3rd Tohwa Univ. International Conference on Statistical Physics. 37 (1999)
-
[Publications] Matsuura H.,Nakano M.: "Stochastic dynamics of molecular machine"JAMB Newsletter. 29. 10 (1999)
-
[Publications] 松浦弘幸,井街宏,藤正巌: "確率共鳴型筋肉モデルノ機械特性"第37回日本生物物理学会年会. 39. S148 (1999)
-
[Publications] 松浦弘幸,藤正巌,井街宏: "筋肉組織を模倣した確率共鳴型ナノマシン"Design & System Conference '99 (日本機械学会). 99-27. 382-385 (1999)
-
[Publications] 中野正博,松浦弘幸: "相対論的場の理論を用いた超重原子の記述"1999計算化学討論会(日本化学プログラム交換機構). 90-91 (1999)
-
[Publications] 松浦弘幸: "100万分の1ミリという極微の世界の技術のもたらすもの"Newton. 20(1). 49 (1999)
-
[Publications] 松浦弘幸,中野正博: "熱ノイズ駆動型の分子機械・確率共鳴型筋肉モデル"SUT BULLETIN. 8. 40-47 (1999)