1998 Fiscal Year Annual Research Report
期外収縮後収縮性増強と酸素消費からの興奮収縮連関カルシウム移動量の推定:システムダイナミクス的手法
Project/Area Number |
10558136
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
菅 弘之 岡山大学, 医学部, 教授 (90014117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
毛利 聡 岡山大学, 医学部, 助手 (00294413)
實金 健 岡山大学, 医学部, 助手 (10294406)
伊藤 治男 (有)SIメディコテック, 代表取締役
荒木 淳一 岡山大学, 医学部, 講師 (80271055)
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Keywords | 期外収縮後収縮性増強 / 興奮収縮連関 / 筋小胞体 / カルシウム / 一過性交互脈 / 不全心 |
Research Abstract |
我々は、期外収縮後収縮性増強と酸素消費から興奮収縮連関カルシウム移動量を推定するためのシステムダイナミクス的手法の開発を進めている。現在、拍動している丸ごと心臓でこのような量を推定する方法は他にない。 期外収縮後収縮性増強の一過性交互脈型減衰の経過は、期外収縮後x拍目の収縮性をy、定数項1を定常状態とすると、y=a・exp[-(x-1)/τe]+b・exp[-(x-1)/τs]・cos[π・(x-1)]+1で特徴づけられる。 心筋の収縮・弛緩を制御するCa総量のうち、筋小胞体を経由する比率を再循環率(RF=exp(-1/τe))と呼び、形質膜を介する比率は1-RFとなる。筋小胞体ではATP1に対しCaは2、形質膜ではATP1に対しCaは1の比率で汲み上げられる。従って、Caハンドリングに必要なATPは、1/2・Ca・RF+(1-RF)・Caとなる。P:O_2=6:1、O_2 1モルを22400ml、一心拍当たりの興奮収縮連関でのCaハンドリングに用いられる酸素量をCa handling Vo_2とすると、一心拍の総Caハンドリング量は、6・10^7・(Ca hand1ing Vo_2/22400)/(1-RF/2)となる。 正常では筋小胞体でハンドリングされるCaは、一心拍の間に一度だけ細胞内に放出され汲み上げられるが、不全心の場呂は、筋小胞体Ca放出チャネルに漏れが生じており一度汲み上げられたCaの一部は漏出し同一心拍中に再度汲み上げられる。これをfutile cycle(無駄サイクル)という。Caハンドリングに費やされるATPは、1/2・Ca・RF+(1-RF)・Ca+N・RF/2Caとして表すことができる。N・RFという項は筋小胞体を介してハンドリングされるCaのうち収縮に関与したCaに対するfutile cycleの割合である。 今後さらに研究を進め、我々の提案した方法論の妥当性・有用性を検討・確認してゆく。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shimizu J,Araki J,Mizuno J,Lee S,Syuu Y,Hosogi S,Mohri S,Mikane T,Takaki M,Taylor TW,Suga H: "A new integrative method to quantify total Ca^<2+> handling and futile Ca^<2+> cycling in failing hearts." Am J Physiol. 275. H2325-H2333 (1998)
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[Publications] Fujii W,Takaki M,Yoshida A,Ishidate H,Ito H,Suga H: "Effects of Intracoronary caffeine on left ventricular mechanoenergetics in Ca^<2+> overload failing rat hearts." Jpn J Physiol. 48・5. 373-381 (1998)
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[Publications] Suzuki S,Araki J,Morita T,Mohri S,Mikane T,Yamaguchi H,Sano S, Ohe T,Hirakawa M,Suga H: "Ventricular contractility in atrial fibrillation is predictable by mechanical restitution and potentiation." Am J Physiol. 275. H1513-H1519 (1998)