1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610018
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
島 岩 金沢大学, 文学部, 助教授 (40115580)
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Keywords | ジュニャーネーシュクル / ジュニャーネーシュクリー / マラーティー / バガヴァンド・ギーター / バクティ / ヒンドゥイズム / タントリズム / 中世インド |
Research Abstract |
本年度は、『ジュニャーネーシュワリー』13-18章(全体のほぼ半分以上に相当する4828オーヴィーを含んでいるおり、バクティについて最も詳細に説かれている箇所だという点でも、最も重要な箇所である)のうち、13-14章の解読を行った。その際に、以下の三点の重要性に気づくにいった。 まず一つは、ギーターのマラーティー語による注釈である『ジュニャーネーシュワリー』が背景としている聖典群の問題である。そこでギーター注釈書における聖典引用の問題について調査研究を行った。その成果が、"A Statistical Analysis of the Citations from Sruti and Smrti Literature in the Three Commentaries on the Bhagavadgita"である。 次に第二は、中世のマハーラーシュトラにおけるプラフマニズムとポピュラー・ヒンドゥイズムの相互の関わりに関する理解の必要性である。そのため、Gunther-Dietz DontheimerのPastral Deities in Western Indiaの書評を行うことで、この点に関する理解を深めた。 第三は、『ジュニャーネーシュワリー』にたいするタントリズムを影響と、それを理解するためのタントリズム理解の必要性である。そのため、ヒンドゥー・タントリズム、なかでも特にシャークタ派の思想の理解に努めた。その成果が、「シャークタ派の密教ーーシュリー・チャクラの構造を中心としてーー」と「クラ派の南の伝承におけるシュリー・チャクラの構造」である。 さらに、例年通り、バクティ研究会を主催し、バクティ運動の展開のうち『ジュニャーネーシュワリー』以降の北インドにおけるサンスクリット語文献と中古ヒンディー語文献に見られる展開(ヴァッラバとヴァッラバ派とカビール)について議論を行った。
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[Publications] 島 岩: "書評:Melford E Spiro:Buddhism and Society" パーリ学仏教文化学. 11. 53-69 (1998)
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[Publications] 島 岩: "書評:Gunther-Dietz Sontheimer著 Pastral Deities in Western India" マハーラーシュトラ. 4. 63-85 (1998)
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[Publications] 島 岩: "A Statishical Analysis of the Citations from Sruti and Smrti Literature in the Three Commentaries on the Bhagavadgita" A Study of Yajnavalkyasmnti. 京大人文研刊(印刷中). (1999)
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[Publications] 島 岩: "『聖註』I.1:1-4和訳(〔1〕〜〔6〕)" 金沢大学文学部論集(行動科学・哲学編). 19(印刷中). (1999)
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[Publications] 島 岩: "シャークタ派の密教-シュリー・チャクラの構造を中心として-" シリース密教第一巻インド編. 春秋社(印刷中). (1999)
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[Publications] 島 岩: "クラ派の南の伝承におけるシュリー・チャクラの構造" 加藤純章博士還暦記念論集. 春秋社(印刷中). (1999)
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[Publications] 島 岩 編著: "聖者たちのインド(印刷中)" 春秋社, (1999)