1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610039
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Research Institution | Eichi University |
Principal Investigator |
松本 耿郎 英知大学, 文学部, 教授 (00159154)
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Keywords | 存在-性論 / 回儒 / 隠れた宝 / 真- / 体- / 数- / ハバ- / タジャッリ- |
Research Abstract |
本年度は研究計画の第2年度であるため初年度に収集した資料の調査と分析を行った。その成果の一部として研究論文「馬聯元著『天方性理阿文注解』の研究」を平成11年京都大学東洋史研究会年発行の東洋史研究第58号第1号に発表した。この論文はB5板36ページの長編である。これは清朝末期の雲南の代表的回儒の一人である馬聯元がアラビア語で書いた作品である『天方性理阿文注解』(アラビア語表題Sharh al-Lata' if)の第一章の内容を分析し、その思想の構成要素を明らかにしたものである。『天方性理阿文注解』は17世紀の回儒である劉智のイスラーム哲学に関する著作『天方性理』を馬聯元がアラビア語に翻訳し、さらにアラビア語で注釈をほどこしたものである。この研究により雲南のイスラーム教徒の間ではジャーミー、イブン・アラビー、アズィーズ・ナサフィーの存在一性論思想の作品が読み継がれ、またイスラーム神学の流派では「ナサフィー信条」が読み継がれいることが明らかになった。馬聯元はこの作品において西アジアのイスラーム世界に伝わる存在一性論思想を忠実に解説すると同時に、それが朱子学の宇宙生成論と比較してより優れたものであることを主張している。しかしながら劉智にならって哲学的概念を図形的に把握しようとす中国思想の方法の利点に着目し、自説の提示のために多数の図形を使用しているなお『天方性理阿文注解』に見える多数のアラビア語、ペルシア語文献の引用の出典についてはマシュハド大学神学部のアーシュティヤーニー教授、マシュハド自由大学法学部長アターイー教授に多くの教示を得た。本年度の研究は次年度に継続しておこなう予定である。
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Research Products
(1 results)