1999 Fiscal Year Annual Research Report
近代のキリスト教霊性の源流-中世末期のドイツ神秘主義との関わりを中心として-
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10610040
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Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
須沢 かおり ノートルダム清心女子大学, 文学部, 助教授 (50171195)
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Keywords | 近代キリスト教霊性 / 16世紀スペイン神秘主義 / イグナウス・デ・ロヨラ / アビラのテレサ / 十字架のヨハネ / ドイツ神秘主義 / ルドルフ・フォン・ザクセン / エディット・シュタイン |
Research Abstract |
近代のキリスト教霊性の源流を探るにあたって、今年度は16世紀スペインの神秘主義、とくにイエズス会を創立したイグナティウス・デ・ロヨラとカルメル会を改革したアビラのテレサ、および十字架のヨハネとドイツ神秘主義との関わりについて研究を進めた。 1)中世末期のドイツの神秘家、ルドルフ・フォン・ザクセンの『キリストの生涯』(Vita Christi)がイグナティウスに及ぼした決定的な影響は、イグナティウスの『霊操』のなかに色濃く見られる。福音書にもとづく黙想のプログラムである『霊操』は、その構成と内容において、また黙想の方法において『キリストの生涯』と多くの点で類似するものがある。『キリストの生涯』と類似して、『霊操』は内的浄化、罪からの解放を黙想の導入に据え、続いてキリストの生涯の出来事を受肉、イエスの公生活、キリストの受難と十字架上での死、復活の黙想が展開されている。祈りの方法と霊性の特徴において、両者に共通している点は、キリストの救済に秘義に参与していくというキリストの人性を強調した、実存的で、体験的なアプローチである。ルドルフは神秘体験を世俗世界を軽視する隠遁的なものではなく、すべての人々に開かれ、共有しうる宗教体験霊性を探求している点できわめて近代的である。 2)カルメン会(アビラのテレサ、十字架のヨハネ)の霊性と近代キリスト教への影響について研究を進めた。近代キリスト教霊性の特徴である信仰体験の個人化、実在化の傾向は明らかに16世紀スペインの神秘家のなかに見られる。テレサのキリストとの個人的な出会いと一致、そして人間の実在的なあり方、ヨハネが暗夜と呼ぶ霊的、内的な状態は、近代、現代の歴史的、精神的暗夜、苦しみと交わるところがある。とくにドイツのカルメル会を代表する思想家、エディット・シュタインの霊性の根幹には、このスペインの神秘家の影響が色濃く見られることがわかった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 須沢かおり: "Gedanken zu einer weiblichen Mystik-Edith Stein und Teresa von Avila"ノートルダム清心女子大学創立50周年論文集. 58-72 (1999)
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[Publications] 須沢かおり: "経験の分有-ロヨラのイグナティウスとザクセンのルドルフ"宗教研究. 72巻. 80-82 (1999)
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[Publications] 須沢かおり: "エディット・シュタインの生涯とその著作に見る女性観"ノートルダム清心女子大学キリスト教文化研究所年報. 21号. 79-171 (1999)
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[Publications] 須沢かおり: "Das Christentum,Edith Stein Jahrbuch"Echter Verlag,Wurzburg,Germany. 273 (1999)