2000 Fiscal Year Annual Research Report
極楽浄土を表象するモチーフとしての迦陵頻伽の諸相とその文化的特質-鳥と人からなる動物を通してみた東西文化の交流とその中国的受容-
Project/Area Number |
10610052
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Research Institution | TOKYO NATIONAL RESEARCH INSTITUTE OF CULTURAL PROPERTIES |
Principal Investigator |
勝木 言一郎 東京国立文化財研究所, 情報資料部, 主任研究官 (50249918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 等作 広島市立大学, 芸術学部, 教授 (50218509)
樋口 昭 埼玉大学, 教育学部, 教授 (60015287)
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Keywords | 迦陵頻伽 / 共命鳥 / 有翼 / 極楽 / 金翅鳥 / ガルダ / 人面鳥 / 飛天 |
Research Abstract |
本年度は3年計画の第3年次にあたる。そこで、従来の研究を総括し、その研究成果を報告した。 1.迦陵頻伽の造形の研究 勝木が、中国の美術・工芸・建築などに取材し、迦陵頻伽との関連から、共命鳥および金翅鳥(ガルダ)の図像について研究をすすめた。まず迦陵頻伽およびその関連図像に関し、「人面鳥」・「有翼人」というキーワードから考察を行い、その研究の展望を総括した。つぎに共命鳥の図像的研究については、まず唐代以前の中国における共命鳥の概念形成を明らかにした。さらに金翅鳥の図像については昨年度の研究を踏まえ、クチャ地方の石窟壁画に取材し、「猛禽類」型と「カラス天狗」型に分類し、それらに対する図像解釈および窟内構成中の位置づけを試みた。 2.迦陵頻伽の持物としての楽器および迦陵頻伽をめぐる音楽・芸能の研究 樋口が、舞楽「迦陵頻」の曲目に着眼し、その音楽様式について研究を行った。今日我々が知りうる舞楽「迦陵頻」の「舞」と「楽」は『明治選定譜』によるところが大きいとされたが、それ以前の楽書の記述からも曲目との関連性が認められた。 3.迦陵頻伽をめぐる工芸意匠の研究 服部が、迦陵頻伽の図像の関連から、西アジア出土の玉座の作例に取材し、有翼鳥獣の図像を考察した。とくにアッシローウラルトゥ式玉座にみられる有翼鳥獣については、ウラルトゥ王国期から新アッシリア王国期へと。 4.成果の公表モチーフの伝播、さらに天空に住む神の神権を受けたメッセンジャーとしての役割が明らかとなった。 勝木・樋口・服部が、これまでに公表してきた研究成果を総括し、報告書を作成した。
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[Publications] 勝木言一郎: "唐代以前の中国における共命鳥の概念形成"古代文化. 第52巻第12号. 3-13 (2000)
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[Publications] 樋口昭: "舞楽[迦陵頻]に託す浄土への憧憬"古代文化. 第52巻第11号. 10-18 (2000)
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[Publications] 服部等作: "玉座を支える有翼鳥獣像-アッシローウラルトゥ式玉座の世界-"古代文化. 第52巻第11号. 38-51 (2000)