1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610053
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
永井 隆則 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (60207967)
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Keywords | セザンヌ / 人格 / 造型 / セザンヌ受容 |
Research Abstract |
本研究の目的は、1930-'40年代日本に於けるセザンヌ受容の問題を、批評言語の水準で調査し、どのようなセザンヌ像がこの時期、形成され、またどのような文化的等の背景の下にセザンヌ像が形成されたかを考察することにある。初年度の計画は、これまでの調査・研究を補完し推進する意味で、1920-'40年代に刊行された美術雑誌を網羅的に調査し日本人によって書かれたセザンヌ論及び欧米人によるセザンヌ論の翻訳を発掘することであった。計画通り、国立国会図書館、東京都現代美術館資料室、京都工芸繊維大学図書館、京都大学図書館、京都府総合資料館等で、『みづえ』『中央美術』『美術画報』『美術新報』『アトリエ』『セレクト』『塔影・国画』『美之国』『美術新論』『アルト』『美術研究』『現代美術』『阿々土』『造形美術・画論』等の雑誌を調査し文献を収集した。2,3の雑誌が未調査に終わったが、ほぼ目標通りの作業が実施できた。また、本研究に関して専門の研究者との意見交換を予定していたが、これについては、『講座 日本の思想 第4巻「芸術」』(1999年晃洋書房)に関する研究会(岩城見一主催、於:京都大学、1998年8月)、及び『美学会全国大会』(於:京都大学、1998年10月)で、「1930-'40年代日本に於けるセザンヌ受容-「人格」から「造型」へ」と題して二度にわたり発表し、意見交換、質疑応答を行った。発表は本年度末に、美学会の編集による論文集の中に収録され刊行される予定である。この発表では、仮説を提出するに留まったが、今後の作業として、今年度収集した資料を整理・熟読し、意見交換の成果を踏まえて、仮説を検証していく。
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[Publications] 永井 隆則: "1930年代日本のセザンヌ受容-「人格」から「造型」ヘ(美学会第49回全国大会報告発表要旨)" 美学. 195号 第49巻第3号. 54 (1998)
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[Publications] 永井 隆則: "『日本の美学…』(共著)" 美学会編, (1999)