1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610059
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
並木 誠士 京都工芸繊維大学, 工芸学部・造形工学科, 助教授 (50211446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 美貴 三重県立美術館, 学芸員
森 理恵 京都府立大学, 人間環境学部, 助教授 (00269820)
山岡 泰造 関西大学, 文学部, 教授 (50067576)
実方 葉子 泉屋博古館, 学芸員
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Keywords | 風俗画 / 狩野派 / 酒飯論絵巻 / 海北友雪 / 食風俗 |
Research Abstract |
平成11年度の研究活動の中心も、前年度同様に、代表者及び各分担者による作品調査と論文、学会発表というかたちでの発表であった。以下に本年度の活動を略述する。 研究代表者の並木が昨年度口頭発表した内容に加筆した論文が刊行された(『藝術研究』12)。また、並木は服飾美学会において口頭発表「肖像画の再現性」(1999年11月)をおこない、室町時代後期の肖像画における服飾表現のもつ意味を考察した。これらは、いずれも風俗表現に対して鑑賞者と画家の関心が高まる室町時代後期の様相を研究したもので、衣・食の面から風俗表現を考える本研究課題の基調となるものである。さらに、並木は、韓国美術史教育研究会(1999年5月)において、「霊地から天下へ-洛中洛外図の成立と展開-」を発表した。その内容は、室町時代後期に成立した洛中洛外図が、どのような経緯を経て各種の風俗画へと展開していったのかを概観したもので、この発表内容も研究分担者と共有した。また、昨年度に引き続き泉屋博古館の風俗画を調査し、並木が「泉屋博古館蔵《扇面散・農村風俗図屏風》資料紹介」(『美術フォーラム21』創刊号)をあらわし、泉屋博古館の実方が「《日吉山王祭礼図》を読む-海北友雪の創意と戦略-」(泉屋博古館紀要16号)として、その成果をまとめた。森は、[11研究発表]記載の2論文において、室町後期から江戸初期にかけての服飾の実態とその絵画化の関係について考察している。 一方、作品調査は、東京国立博物館の住吉具慶筆「洛中洛外図巻」の特別観覧および石川県立美術館、富山県百河豚美術館、福井県立美術館での風俗画関係作品の調査をおこなった。とくに東京国立博物館所蔵の「洛中洛外図巻」は、従来研究論文もほとんどなく、また細部にわたる良好なカラー図版も存在しないため、今回撮影した詳細な部分写真をもとに、次年度は研究分担者の森が中心となって住吉派の風俗画における服飾表現を検討することを予定している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 並木 誠士: "近世初期風俗画の源流としての酒飯論絵巻"藝術研究(広島芸術学会). 12. 1-13 (1999)
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[Publications] 並木 誠士: "泉屋博古館蔵《扇面散・農村風俗図屏風》"美術フォーラム21. 創刊号. 9-11 (1999)
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[Publications] 山岡 泰造: "大法院書院の間の渡辺了慶の障壁画"関西大学博物館紀要. 6. 36-52 (2000)
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[Publications] 森 理恵: "雁金屋「慶長七年御染地沖長」にみる衣服の性別"風俗史学(日本風俗史学会). 1999年秋号. 19-30 (1999)
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[Publications] 森 理恵: "室町時代末期から桃山時代における武家少年の衣服"服飾美学(服飾美学会). 30(未定). (2000)
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[Publications] 実方 葉子: "《日吉山王祭礼礼図》を読む-海北友雪の創造と戦略-"泉屋博古館紀要. 16. 103 (1999)