1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610061
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
河野 道房 大阪府立大学, 総合科学部, 助教授 (90195678)
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Keywords | 画論 / 日本絵画 / 中国絵画 / 品第 / 鑑賞論 / 文人 / 君台観左右帳記 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、中国の絵画関係文献をその内容から鑑賞論、制作論に二分し、その中で種々の概念を体系化することに努めた。いわゆる優劣論、品第論、流派論、分類論等を鑑賞論の系譜として理解し、勧戒論、六法論、山水画論、文人画論等を制作論の系譜として整理を行った。 このような理解のもとに、日本の古代中世の絵画関係文献の考察を行なった。今年度は『源氏物語』(「帚木」等)、『古今著聞集』(巻十一、画図)、『仏日庵公物目録』、『細川殿御餝』、『君台観左右帳記』等に見られる絵画観を、中国の伝統的絵画観と比較検討した。その結果、この時代には未だ「画論」専著の成立をみないこと、専著はなくとも日記・小説・雑記・目録の形式で当時の絵画観を反映する資料が多く出現しはじめたこと、中国の絵画観の影響を強く受けながら日本独自とも言うべき絵画観が形成されつつあったこと、等が確認された。 特に興味深いのは、『君台観左右帳記』に見られるような画家の評価一覧・室礼の記録・工芸品資料というような、既存の文献に例のない特異な形式が、宋から明にかけて発達した文人の生活様式指南書の影響下に出現したのではないか、と思われることである。
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Research Products
(1 results)