1999 Fiscal Year Annual Research Report
洞察問題解決における認知メカニズムの解明と計算モデルの構築
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10610082
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
鈴木 宏昭 青山学院大学, 文学部, 助教授 (50192620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
開 一夫 電子技術総合研究所, 主任研究官
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Keywords | 洞察 / 制約 / 認知科学 / 創発 / 多重制約充足 / 心理学 / 人工知能 |
Research Abstract |
本計画は心理学と計算機科学の知見を用いて、洞察のメカニズムを計算レベルで特定し、心理学的に妥当な洞察の理論を提案することを目的としている。 本計画において提案される理論では、洞察前における固着は、対象レベル、関係レベル、ゴールの3つの制約によって発生すると仮定されている。そして、失敗を繰り返すたびに、これらの制約が比較的独立に緩和されていき、その結果確率的に洞察がもたらされると仮定している。 本年度は、洞察に関与する制約の中でも、関係レベルとゴールの制約の役割について実験的な検討を昨年度同様の図形パズル(T パズル)を用いて行なった。ゴール制約についての実験では、次のことが明らかになった。(1)ゴール制約を明確にする教示を与えた条件では、課題達成時間、施行数において劇的な促進が見られた。(2)ゴール制約を明示した条件においては、偶然正しく置かれたピースに対する評価が、適切になされることによる。 関係レベルの制約の緩和を促進する実験を行なった結果、次のことが明らかになった。1.)関係レベルの制約緩和を促すヒントにより、解決時間や解決に要する施行数が有意に減少し、自発的に課題を達成する被験者の数が増加した。2.)このヒントによって、対象レベルの制約も制約も同時に緩和される。以上の結果は、関係レベルの制約が他の制約と相互作用しながら機能していることを示している。
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[Publications] Suzuki,H., Miyazaki,M., & Hiraki,K: "Goal constraints in insight problem-solving"Proceedings of the Second International Conference on Cognitive Science. 159-164 (1999)
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[Publications] 宮崎美智子、鈴木宏昭、開一夫: "洞察問題解決における制約間の協調"Proceedings of the Second International Conference on Cognitive Science. 1144-1146 (1999)
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[Publications] 鈴木宏昭: "認知科学における創造的認知研究の動向と課題:洞察問題解決のメカニズムを中心として"青山学院大学総合研究所研究叢書. 4号. 13-20 (1999)