2000 Fiscal Year Annual Research Report
音素レベルの分析に基づいたプライミング効果に関する実験心理学的検討
Project/Area Number |
10610085
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Research Institution | RIKKYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
都築 誉史 立教大学, 社会学部, 教授 (70207421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 照久 大学入試センター, 研究開発部, 助手 (10280538)
久野 雅樹 電気通信大学, 人文社会科学系列, 講師 (20282907)
井上 達紀 立教大学, 社会学部, 助手 (60298065)
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Keywords | 言語 / 音声 / プライミング効果 / コネクショニスト・モデル / 多義性 / 音読(命名) |
Research Abstract |
1.筆者の研究グループは,音読課題を用いて多義動詞をプライムとした意味的プライミング効果に関する実験的研究を行ってきた.筆者は音読課題自体に興味があるわけではなく,プライミング効果などを手がかりとして,人間の言語理解に関するモデルを構築することが一つの目標である.そこで理論的研究として,上記の実験に対応したコネクショニスト・モデル(並列分散処理〔PDP〕モデル)によるコンピュータ・シミュレーションを行ってきた.筆者のグループが作成した,相互結合ネットワークに基づく並列分散処理モデルは汎用性が高く,過去の様々な実験データを包括的に説明し,新たな実験の結果を予測できる.特に本年度は,筆者によるコネクショニスト・モデル研究の総括という意味もこめて,高次認知過程(記憶,学習,言語,思考,発達,社会の6領域)に関するコネクショニスト・モデルの最近の研究動向を展望する論文を,他大学の研究者と共同でまとめた.この論文は,2001年に『心理学研究』展望論文として掲載される.また,本年度は,日本の心理学界におけるコネクショニスト・モデル研究の事例をまとめた著書を,共同で編集・執筆した.この本も,2001年に北大路書房から刊行される.科学研究費のテーマと直接に関連するものとして,筆者らによる「言語理解における多義性の処理-プライミング実験とコネクショニスト・モデルによるシミュレーション-」という章が同書に収録されている. 2.筆者の共同研究者のグループ(カリフォルニア大学ほか)によって,リアルタイムで音読潜時を測定し,精密な音素分析を行う,PC(Windows)用のプログラム(Runword)が英語環境で開発されている.本年度は,このプログラムの32bit版を日本語環境に移植・拡張する作業を先年度に継続して行い,日本語文字フォントを表示できる日本語版プログラムの修正を行った.
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[Publications] 都築誉史 ほか: "高次認知過程に関するコネクショニストモデルの動向"心理学研究. 72. 16p (2001)
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[Publications] 内田照久: "音声の発話速度の制御がピッチ感および話者の性格印象に与える影響"日本音響学会誌. 56(6). 396-405 (2000)
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[Publications] 守一雄,都築誉史 ほか(共編著): "コネクショニスト・モデルと心理学"北大路書房. 250 (2001)