1998 Fiscal Year Annual Research Report
幼児期から児童期にかけての睡眠習慣・睡眠問題に関する縦断的研究
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10610095
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
福田 一彦 福島大学, 教育学部, 助教授 (20192726)
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Keywords | 幼児 / 睡眠 / 生体リズム / 発達 / 昼寝 |
Research Abstract |
幼児期の睡眠パターンの発達的変化ならびに幼稚園児と保育園児の睡眠関連現象の比較を中心に検討を行った。幼稚園児124名と保育園児317名を対象に睡眠関連習慣についての質問紙と10日間にわたる睡眠日誌の記入を依頼した。幼児期には夜間睡眠は殆ど変化しないが昼間睡眠は顕著に減少していた。しかし保育園では午後に昼寝を取らせるため保育園児の平日の昼間睡眠は3年間ほぼ一定であった。一方、保育園児では夜間睡眠時間が短く就床時刻が遅かった。また、夜更かし、寝不足感、寝起きの気分、登園拒否傾向、寝付くまでの時刻、寝付きの悪さなどの問題は保育園児で有意に多くみとめられた。つぎにこれらが母親の就労による生活の夜型化によるものかを検討したが、保育園児の母親とと幼稚園児の母親の間で起床時刻、就床時刻、睡眠持続時間とも、有意な差は認められず就労そのものが夜型化の主要な要因とは考えられなかった。また、母親の就床時刻と幼児の就床時刻との間にも関連が認められなかった。幼稚園児に比較して保育園児では夕食の時刻が遅かったが、同時に保育園児では夕食の時刻と就床時刻の間に強固な関係が認められず、夕食の時刻が夜型化の要因とも考えにくかった。一方、昼間睡眠の夜間睡眠に対する効果を調べるため、昼間睡眠のあった日となかった日とで、その前日の睡眠時間と当日の就症時刻を比較したところ、前日の睡眠時間の長さには有意な差は認められず、当日の就床時刻は昼間睡眠のあった日に有意に遅くなっていた。以上の結果を総合すると、保育園児における就床時刻の遅延は保育園で行っている午後の昼間睡眠が原因である可能性が高く、このため睡眠覚醒リズム振幅が低下し寝起きの気分の悪さなどの様々な睡眠関連問題が生じていると考えられた。保育園での昼間睡眠の日課は少なくとも年長児については再検討が必要と思われた。
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