1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610096
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
早坂 菊子 筑波大学, 心身障害学系, 助教授 (70198828)
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Keywords | 吃音 / 遺伝 / 専門家診断 / 近親者 / 予防 / 調査 / 吃音の回避 / 言語症状 |
Research Abstract |
吃音の遺伝の関与は、近年かなり明らかにされている。最近3年間、筆者が関わった関東圏の言葉と聞こえの教室での専門家診断にかかった吃音の子供の近親者の吃音の実態を調べたところ、以下のような結果が得られた。幼児から主に学童の吃音児72名の中で、近親者に吃音ありと明記した者が24人であり、全体の33.3%であった。なしは21%、不明は27%で、この不明の中にも近親者に吃音ありとした者が見られると考えられる。ありと答えた者で男子は19名で、男子総数53名のうち35.8%、女子は5名で女子総数19名のうち26.3%である。吃音の出現率が0.7%〜1%と考えると、これらの数値はかなり高いものと考えられえる。 このような実態から予防という観点で、近親者に吃音者がいる、あるいは両親、そのどちらかが吃音者である家庭を早期に抽出し、パンフレット等で正しい吃音への対応を発吃前に知らせることで、吃音の発現、進展を防止することができるのではないかと考えた。そこで、1歳半健診において、近親者に吃音者がいるかどうかの調査をおこなった。調査は茨城県内の保健所13箇所である。方法は主に調査者が調査用紙を母親に配布するという方法をとったが、遠方の場合は保健婦に配布、回収を依頼した。回収数936名中ありと答えた者32名、3.4%であり、男子17名、女子15名であった。1親等6名、2親等21名、3親等以上8名であった。住所を明記した者が11名であり、彼らにパンフレットを送付し、必要以上に吃音を回避しないように、出現してもあわてないように指導をおこなった。現在から2ケ月おきに各家庭にテープを送付し、言語症状をおってゆく予定である。
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