1998 Fiscal Year Annual Research Report
個人統制志向と集団統制志向:その選好と心理的・社会的適応との関連について
Project/Area Number |
10610099
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 勧 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (80134427)
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Keywords | コントロール / 集団主義 / 尺度構成 |
Research Abstract |
本年度は、集団統制志向の尺度を作成した。この尺度は質問紙法により個人の統制志向を測定しようとするものである。さまざまな状況で、個人的に状況をコントロールしようとするか、それとも集団によって状況をコントロールしようとするかを尋ねている。たとえば、「困ったことが起こったら、他の人と一緒に考える」、などという質問に肯定的に答えた者は、集団統制志向が強いということになる。大学生および社会人にこの尺度にたいしての回答を求めたところ、この尺度は十分な信頼性を持ち(Cronbach′s alpha>.80)、一次元の特性を測定することが確認された。 また、日本人および香港の中国人の大学生では、集団でいる場合ほど危険を過小評価することがわかっており、日本人の大学生の場合にはとくに集団での統制可能性を過大評価することもわかっている。そこで、上記の統制志向の尺度によって測定される集団統制志向と集団事態での統制可能性の認知との関係を調べるために、さまざまなシナリオを提示して被験者にリスクの評価を求めた。たとえば、発癌物質を摂取していてガンになる可能性は、他に何人の者が同じ発癌物質を摂取していても変わらないはずである。しかしながら、これまでの研究では、同じリスクにさらされている者が多いほど、自分のリスクを低く評価する傾向が見出されている。この実験において、同じリスクにさらされるものが多いほど、社会人の被験者は、リスクを低く評価する傾向を確認した。そして、このようなリスク認知傾向と集団統制志向との関連について、現在データを分析中である。
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