2001 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害児・者のための会話エイドの開発と学校教育および地域社会における実証的研究
Project/Area Number |
10610101
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Research Institution | HIROSHIMA INTERNATIONAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伊藤 英夫 広島国際大学, 人間環境学部, 教授 (90134775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐竹 真次 山形県保険医療大学, 保険医療学部, 教授 (90299800)
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Keywords | 会話エイド / AAC / 学校教育現場 / 図形シンボル / 発達障害児 |
Research Abstract |
本年度は、本研究の最終年度に当たる。ハードウエアの面では、シャープから業務用モバイルコンピュータ、コペルニクスRW-A230が開発され、本研究には大きな推進力となった。この機器は、8.4型、SVGA、TFTカラー液晶画面にタッチパネルを装着し、指で画面上の図形シンボルが選択可能で、Windows98上でソフトウエアを動かせることができ、キーボードやテンキーなど不要なものが全くなく、大きさは幅約238×奥行179×高さ約26(mm)、重さは約0.925kgと非常にコンパクトにできていて携帯には便利である。そこで本機を本研究のVOCAのハードウエアとして採用することにし、開発したVOCAのソフトを実際に動かしてみて、微調整を行った。 最終的に開発したVOCAのソフトウエアは、画面上に約21×21mmの図形シンボルを3×6、計18個配置し、最下段に選択した図形シンボルが確認できる窓を設定した。起動するとメニュー画面が立ち上がり、名前、乗り物、場所、お店、行事、数字、果物、おやつ、料理、台所、生活、からだ、遊び、動作、気持ち、生き物、勉強、比べるの18カテゴリーからなっている。名詞が集められているカテゴリーでは、共通して対応する動詞を左上に配置し、利便性をはかった。 地域におけるVOCAの活用に関する研究として、養護学校中学部3年に在籍する自閉症児を対象に研突を行い、地域のレストラン、ラーメンショップ、カフェテリアなどで、VOCAを用いて食事を注文する設定で行った。コミュニケーションボードで注文する際、お店の店員に伝わりにくかったことが、VOCAを使用することにより、スムースに注文することが可能となった。 学校教育現場におけるVOCAの導入に関する研究では、石神井養護学校の水野聡教諭に研究協力者として参加してもらい、小学部4年の自閉症男児を対象としたケーススタディを行った。対象児は、VOCAを導入する前から、コミュニケーションボードによる指導を開始しており、ビッグマック(簡易VOCA)も直前から導入していた。その結果、学習の終わりに報告する「できました」の使用は比較的スムースに学習でき、ほかに「おはよう」「さようなら」「いただきます」「ごちそうさま」「せんせい」を現在使用している。学校教育現場では、個別にVOCAの練習だけに時間を割くことができず、使用頻度や練習回数が少ないため、VOCAの語彙数の増加になかなかつながらなかった。専門機関や家庭との連携が重要であることが示唆された。
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