Research Abstract |
本研究では,クラス担任制と教科担任制における教師の異動実態を明らかにし,その意味を追究することにある.異動実態の概要は,調査研究により明らかになりつつある.すなわち,中学校における教科担任制では,多くの場合,担任生徒の過半数は変わるものの,当該学年の生徒ともに,最終学年まで持ち上がる傾向が認められた.それに対して,小学校に特徴的なクラス担任制は,2年間を持ち上がりの限度にしている傾向が見られる.こうした担任システムに対しては,教師と児童・生徒とのかかわりを重視する,という背景のあることが確かめられる.もちろん,地域や学校状況,主として教員構成などにより大きく異なり,場合によっては,3年以上も同一児童を担当するケースもあった.なお,欧米の研究者の間には,わが国の担任システムの背景理論に対して深い関心を示す人たちもいる.次に,この担任システムの特徴が,児童・生徒ではなく,教師が担当し教科指導を体験する間に形成される内面化されたカリキュラム,すなわち教科の知識構造に,どのような影響を与えるかを解明することが,第二の本研究のテーマになっていた.つまり,担任システムと教師の教科に対する認知構造とは密接にかかわる,という仮説を検証することにある.しかし,内面にある教科カリキュラムの知識構造に迫るために,これまでいろいろな方法を工夫して試行錯誤してきたが,端的には,当初の目論見通りには,実証的検証は成功していない.最終年度に向かってさらに研究方法を洗練させたい.
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