1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610117
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
豊田 弘司 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (90217571)
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Keywords | 自己選択精緻化 / 自己生成精緻化 / 偶発自由再生 / 偶発手がかり再生 |
Research Abstract |
本年度は、記銘情報に関する情報を被験者が生成する自己生成精緻化、実験者が呈示する実験者呈示精緻化との比較によって自己選択精緻化の有効性を検討した。実験1では、記銘後から連想語を2語生成させる条件(生成2条件)、1語生成させる条件(生成1条件)、選択肢として呈示された2つの語からより記銘語と連想関係の強い語を選択させる条件(選択条件)を設けた。ただし、選択条件では選択肢が2語ともに記銘語からの連想語であり選択が困難な条件(AA条件)及び選択肢の1語のみが連想語であり選択が用意な条件(AN条件)を設定した。そして、自己生成精緻化との比較による自己選択精緻化の有効性を検討した。偶発自由再生率では、生成2=生成1>AA>ANという関係が示され、自己生成精緻化が自己選択精緻化よりも有効性が高く、自己選択精緻化の有効性は選択が困難な場合に高まることが明らかになった。実験2では、実験1のAA及びAN条件に対して、実験者が記銘語に関連する連想語を1語呈示するA条件、非連想語を1語呈示するN条件を設定した。そして、実験者呈示精緻化との比較による自己選択精緻化の有効性を検討した。その結果、偶発自由再生率においてAA>AN=A>Nという関係になり、選択が困難である場合の自己選択精緻化の有効性が示された。 実験3では、任意の人物とその人の行動を示した文を記銘情報として、何故その人物がそのような行動をしたのかという質問に答えさせる生成条件、上記質問に対する答の選択肢から正しい方を選択させる選択条件、及び呈示された1つの答の正しさを評定させる呈示条件を設定した。偶発手がかり再生率をみると、それぞれの条件における判断が困難な場合には生成=選択>呈示、容易な場合には生成>選択=呈示という関係が示された。したがって、自己選択精緻化は符号化が困難な場合に自己生成精緻化と等しい有効性をもつことが明らかにされた。
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